洪水被災地で州首相の退陣求める大規模デモ、警察と衝突 スペイン東部
(CNN) 先月末からの大規模な洪水で220人以上が死亡したスペイン東部バレンシア州で9日、住民らがマソン州首相の退陣を求めるデモを展開し、警官隊と衝突した。 写真特集:スペインで激しい鉄砲水、被災地の惨状 州都バレンシアの市庁舎広場付近では、デモ参加者が警官らに椅子などを投げつけ、警察側は警棒と盾で対抗した。バレンシア市のカタラ市長は市内で複数の建物が襲われたと述べたが、重傷者の報告はない。 地元メディアは政府の推計として、デモには13万人が参加したと伝えた。 デモは午後6時ごろに始まった。数千人がプラカードを掲げて「人殺し」と唱えながら街に繰り出し、対応の遅れが指摘されるマソン氏の退陣を要求した。 同州では8時間で1年分に相当する雨量が観測され、激流に車や橋がさらわれるなど甚大な被害が出た。 参加者の1人はロイター通信に、州当局の警報発令や災害対応が遅すぎたと訴え、州政権の交代を求めた。「職務放棄と組織的怠慢の責任を問う必要がある」と話す参加者もいた。 マソン氏は、集中豪雨について中央政府から警告されたのが遅かったと主張する。これに対して政府側は、同氏に少なくとも4回電話をかけようとしたが、つながらなかったと説明してきた。 一部の報道によれば、マソン氏は洪水発生から数時間後までレストランにいたとされる。本人は、壊滅的な被害が出る前に電話に出られなかった事実はないと反論している。 被災地では今も70人を超える行方不明者の捜索が続いている。 カタラ氏はX(旧ツイッター)に「対決や破壊行為は決して解決にならない」と書き込み、デモ参加者らに平静を呼び掛けた。