【体験談】高3夏でも指定校推薦に間に合う? のんびり息子が挑戦、結果は…
繊細な息子 早めの合格決定で笑顔が増える
英語が苦手で、どちらかというと理系分野が得意な息子は、プログラミングへの興味もあり、情報系の学部がある大学を志望していました。 一般選抜を想定していた当初は、第一志望を埼玉大学工学部、併願として私大はMARCHあたりを考えていました。しかし、学校の勉強以外は特にしていなかったので、模試の成績も伸びずにE判定ばかり。指定校推薦に切り替えたことで、大学選びはゼロからのスタートとなりました。 9月上旬に指定校推薦の一覧が出て、志望校は四工大(芝浦工業大学、東京都市大学、工学院大学、東京電機大学)に絞り、息子本人がいろいろ調べて最終的に工学院大学に決めました。 息子は以前から大学進学と同時に家を出たい気持ちが強く、家から一番遠くて、バレーボールサークルがある大学という視点で選んだようです。その後、A4用紙1枚程度の志望動機を書いて提出し、志望者が1人だけだったのか、10月には校内選考を通過しました。11月下旬に大学の面接があり、12月初めに合格の知らせを受けました。 合格は息子からサラッと伝えられましたが、親としては「行く大学が決まった」とようやく安心できました。繊細な性格で、夏以降は精神的につらそうにしているのを見ていたため、早く大学受験のプレッシャーから抜け出してくれたらと思っていました。合格が決まってからは息子に笑顔が増えたので、指定校推薦で早めに合格を決められて本当によかったです。 大学入学と同時に一人暮らしを始め、夏休みなど長期休暇のたびに帰ってきますが、普段は1カ月に1回、連絡がある程度です。大学でどう過ごしているのかは想像するしかありませんが、大学から届く成績を見る限り、相変わらず苦手な英語には苦労をしつつ、単位はそつなく取っています。現在、大学3年なので、大学院に進むかどうかを迷っているようです。
真面目なコツコツタイプなら…
息子のように、学校の勉強をコツコツと進め、課題をきっちり提出するタイプには、指定校推薦での入試が合っていたと思います。最初から想定していたわけではありませんでしたが、それまでの先生の印象や成績があったからこそ、高3の夏での方向転換にも間に合ったように思います。 指定校推薦というと、評定平均が高くないと申し込めない印象があり、3年生になってからでは間に合わないと思っている方も多いと思います。確かに、息子の高校でもGMARCH以上の大学は指定校推薦の希望者が多く、推薦を取れないケースもあったようです。 しかし、息子のように進みたい分野は決まっているが大学は特にこだわっていない場合、高校の指定校推薦一覧の中から本人の評定平均が基準に届き、校内の希望者が重複しない大学を選ぶ方法はあるでしょう。あまり学校の先生とは積極的に関わらないタイプの息子が、指定校推薦については担任の先生に自ら質問したのは、勝算があったからではないかと思います。 そして、一般選抜をやめて指定校推薦に切り替えることを、まず母親の私に相談したのも彼の作戦だったのだと思います。私から夫(父親)に伝えてもらうのがスムーズだと考えた作戦は、大成功(笑)。私自身は無理をして大学へ行く必要はないし、就職しても専門学校に進んでもいいと思っていました。進路に苦しむ状況にはならないでほしい、まずは高校を無事卒業してくれればそれでいいと願っていたので、先に話をしやすかったのだと思います。 ただ、高校が進学校だったので、大学進学以外の道を進む場合は、担任の先生に止められるかもしれないという心配がありました。「その場合は、ギリギリまで高校には内緒にしようね」と息子と話をしていたくらいです(笑)。それくらいの気持ちで親子で臨んだ大学受験だったのがよかったのかもしれません。私たちの世代では、大学受験というと一般入試が普通でしたが、いまはさまざまな入試方法があること、そして大学以外にも多様な進路があることを、親は頭に入れておくといいのではないでしょうか。
朝日新聞 Thinkキャンパス