会社社長がお金持ちでも「不倫」をしてはいけない根本的な理由
“神”として振る舞え
桃野氏はしばしばリーダー論を語る際に自衛隊を例に出す。著書の中では、企業の管理職研修が名ばかりのものなのに対して、自衛隊は1年間もかけて幹部候補生にリーダー像をたたきこんでいる、と指摘している。そのため自衛隊の幹部の心と体にはリーダーのあるべき姿が焼き付いているのだという。 「たとえば、私の尊敬する自衛隊幹部の方は、連隊長以上の階級は“神”と見られるよう意識しなければならない、と仰っていました。200人ほどを束ねる立場の中隊長までならば、“おやっさん”のような存在でもいい。しかし複数の中隊の上に立つ連隊長はそれではいけない、ということです。 人によっては、いつまでも兄貴分のような感じで振る舞いたいと思うことでしょう。現場にフランクに接することができる自分が好きという人はいます。実のところ、中隊長までならそれでもいいのです。 しかし、連隊長になったら自分自身の気持ちはさておいて、“神”を目指す必要があるのです。別に必要以上に威張るとか強面になる必要はないのですが、実際にほとんどの人はかなり“強面”で通すようです。結局はそれが部下のため、組織のためになるからです」 しかし全員が強面になると、それはそれで効果がない気もするが――。 「もちろん、全員が同じやり方で“神”になるわけではなく、それぞれの方が持ち味を生かしながら、というのが前提です。印象では8~9割の方は強面路線を選ぶようですが、まったく別のタイプの方もいました。 先ほど話に出した幹部の方は、普段はニコニコしていて、ここぞという時にだけ豹変して厳しさを見せるという感じでした。言うべき時は厳しく言う。 結局、“見せ方”には絶対の正解があるわけではなく、何が自分に合っているのかを考える必要があるのです。ここをきちんと考えないで、“ありのままの自分”を見せようというのでは、リーダー失格です。 自衛隊の幹部教育では、リーダーはこうすべきだ、と教えているというよりは、リーダーというものは何かの基本的な考え方を教えていると聞きました。定義を学んだうえで、やり方は自分で考えるというところでしょうか」