高速道路から戦闘機がテイクオフ! ヨーロッパ各国が相次いで訓練を実施する理由とは?
敵の攻撃下で部隊と能力を維持する「分散化」
高速道路や地方の小規模飛行場などを代替滑走路に使うアイデアは、欧州だけでなくアメリカ軍も注目している。ロシアや中国など、軍事的に拮抗する能力を持った相手との戦いでは固定された基地や集結した部隊は長距離攻撃の標的となるからだ。 スイス空軍は、訓練の目的として「分散化」能力の向上を挙げている。同空軍は国内3カ所の空軍基地に戦闘機部隊を置いているが、仮にこの3カ所が破壊されただけで、戦闘機が全滅・能力喪失しては大問題だ。戦闘機はとても強力な武器だが、地上にあるうちは“的”にすぎない。部隊や運用機能を分散させ、敵の攻撃を回避して反撃に転じる――こうした考えのもと、各国とも代替滑走路での航空機運用に再注目している。
綾部 剛之