トリプルレッドとなった「次期トランプ政権の政策」を考察する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
減税は年内成立、関税引き上げは時間をかけて実施か、市場は慣れもあり総じて冷静な反応も
以上より、改めて政策実施の順番を考えた場合、トランプ氏は前述通り、まずは不法移民対策やエネルギー生産の規制緩和などに着手し、2025年中にトランプ減税延長などの税制改革法と予算の成立を目指すと思われます。弊社はいくつかの条件のもと財政支出による2026年の経済成長押し上げ効果は0.6%ポイント程度とみていますが、議会がトランプ減税延長以外の支出を3割程度に抑えれば0.2%ポイント程度にとどまることも想定されます。 関税引き上げについて、中国には強硬姿勢継続、それ以外は個別交渉が予想され、米国経済にも悪い面がある以上(図表1)、前回と同じく、相応に時間をかけて行われる見通しです。ただ、関税で相手を脅して譲歩を引き出すのはトランプ流の交渉術で、市場も十分慣れているなど、トランプ政権も2回目となれば既知の部分も多いため、トランプ氏の言動に対する市場の反応は、前政権時より総じて落ち着いたものになることも考えられます。 (2024年11月18日) ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『トリプルレッドとなった「次期トランプ政権の政策」を考察する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。 市川 雅浩 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト
市川 雅浩,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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