珠洲・大谷駐在所、災害拠点に 安全な外浦へ発進 大雪備えパトカーで巡回
珠洲署は8日、珠洲市大谷町の大谷駐在所を災害に備えた活動拠点として利用を開始した。能登半島地震や奥能登豪雨では大谷地区を含む外浦側が孤立し、警察官が立ち入れない状況となったことを教訓に、食料や燃料などを備蓄してきた。9日以降の大雪予報を受け、署員2人がスポーツ用多目的車(SUV)タイプのパトカーで巡回活動を始め、外浦での安心な暮らしを守るために目を光らせた。 8日は、大谷駐在所員の谷口友哉巡査ら署員2人が雪の中、SUVパトカーで大谷町に到着し、駐在所を拠点に、日本海に面する東西約20キロの外浦側の巡回警戒を始めた。 谷口巡査は昨年の元日、翌日の勤務に備えて珠洲市へ向かっていたところ、震災で孤立した輪島市町野町で3日間の車中泊を強いられた。外浦側は道路が寸断され、大谷駐在所に到着できたのは7日だった。9月の奥能登豪雨でも土砂崩れで翌日まで大谷に入れなかった。 珠洲署は現在、駐在所員も動員して市内の重点警戒パトロールに充て、駐在所に警察官を常駐させていない。しかし、二つの災害の教訓から、大谷駐在所を災害対応拠点とし、大雨や大雪の予報が出た時点で署員が駐在することにした。充電式チェーンソーなど救助資機材や除雪用具、発電機などを設置した。 細い峠道や、土砂崩れの跡が生々しい山肌に雪が降り積もる中、大谷に入った谷口巡査は「住民が安心できるように警察官の姿を見せながら、万一の際は被害情報をすぐ収集し、警察として迅速に対応できる態勢を取りたい」と話した。