男子高校生のキス経験率は5人に1人 過去最低、コロナ禍が影響か
日本性教育協会(東京都)による「青少年の性行動全国調査」で、2023年度の男子高校生のキス経験率は5人に1人で、1974年度の調査開始以来過去最低となったことが明らかになった。専門家は「人との接触が制限された新型コロナウイルス禍が、中高生の性行動の経験率を押し下げた可能性がある」と指摘している。 協会が6年ごとに実施している調査の報告会が3日に都内で開かれた。今回の調査は23年8月~24年3月に全国の中高大学生にアンケート方式で行い、中学生4627人、高校生4321人、大学生3614人の計1万2562人から有効回答を得た。 キスをしたことがある青少年の割合は05年をピークに減少しており、今回は中高大学生の男女全てで前回(17年度)から減少。特に高校生の減少幅が大きく、男子は前回比11・1ポイント減の22・8%、女子高校生は同13・6ポイント減の27・5%だった。男子は1987年度の23・1%を下回り過去最低となった。 また、性交経験率は男子高校生が同3・5ポイント減の12・0%、女子高校生が同5・3ポイント減の14・8%だった。デート経験率は中高生男女で落ち込んだ。このほか自慰経験率が中高大学生の男女全てで増加しており、女子中学生、高校生男女では過去最多だった。 調査の分析を担当した武蔵大学の林雄亮教授(計量社会学)は、キスや性交の経験率の低下について「中高生が性に関心を持ち始める多感な時期に、コロナ禍での休校や対面接触の制限が重なったことが影響したとみられる」と指摘。自慰経験の増加は「性交相手の有無に関係なくみられるため、対人的な性行動の代替というよりはマンガなどで性表現に触れる機会が増えたことが要因では」と分析している。 このほか報告会では学校・家庭での性教育や性的同意の浸透、性的画像を送信させる脅し行為(セクストーション)やデートDV(ドメスティックバイオレンス)被害の研究結果が発表された。【西本紗保美】