“三大そのへんの草”セリ、ノビル、カラシナの食べ方は?おいしい野草料理レシピを5つご紹介
春の食べられる野草の採集は、大昔も今もアウトドアレジャーのど真ん中。どこにでも生えていておいしい3種を覚えて、摘み草デビューしてみよう! 【写真12枚】ノビルとカラシナ、そしてセリ。下処理の方法とアレンジレシピ5選を写真で見る ・私が提案します! ライター藤原祥弘 「生活技術としてのアウトドア」をテーマに活動。野生食材を採集しながら人が少ない土地を旅するのが好き。共著に『無人地帯の遊び方』ほか。
郊外の小河川を散策しよう
山菜や野草を食べてみたい! と図鑑を開いてみると、あの草もこの草も食べられるという。喜び勇んで採集し、本のとおりに調理をすると……あれ? 料理が天ぷらばっかりになるし、そもそも美味しくもない??? そうなのだ。「食べられる草」には野菜並みに美味しい草もあれば、害はないが美味しくもない草もある。そしておすすめの調理法に「天ぷら」と書いてある草は、油の旨みに頼っていることが多い。 採集しやすく、食物として美味しく、資源量が豊富な草こそ摘み草(食べられる草を採集すること)にぴったりだが、そんな都合の良い草があるわけが……ある! ノビルとカラシナ、そしてセリだ。 これらは郊外の小河川にはたいてい生えており、味や香りが特徴的なので識別もしやすい。摘み草デビューするなら絶対にこの3種。食べればわかるさ! ・ノビル ネギに似た独特の香りがある。北海道から九州にかけて分布。繁殖力が強く低地であれば公園や道路脇のちょっとした土にも生えて、地域によっては鱗茎が100円玉程度の大きさになるものもある。葉を利用する場合は日陰の細い株が食べやすい。 ・カラシナ 明治以降に移入され、現在は北海道から沖縄の平地に生える。開く前の菜花や茎、若葉を利用する。カラシナにはタカナなどの栽培品種もあり、栽培品種に近いタイプはアクが少なく食べやすい。沖縄では葉を漬けたものをチキナーと呼び、さまざまな料理に使う。 ・セリ 春の七草のひとつで独特の爽やかな香気が特徴。北海道から九州に分布し、田んぼの畦や小河川の水際に生える。野生のものは栽培品と比べて背丈が低く苦みが強い。春先のものは地面を這うようにして葉を広げる。根ごと掘り上げて全草を料理に使う。 ◆採集ポイントは河原の土手! 陽がよく当たり多様な環境が混在する土手は、摘み草の一級ポイント。いろんな野草を採集できる。保護区などでなければ、過度な採集をしない限り法的にも問題がない。 ・道具は家にあるものでOK! スコップ、ナイフ、ビニール袋、新聞紙が基本。ナイフは銃刀法に触れない刃渡りのものが◎。 ・採集物は紙で包む 採集物は同じ種類・部位のものを新聞紙などで包んでから袋に入れると、あとで処理しやすい。 ・穴を掘ったら埋め戻す ノビルのように根ごと掘り上げる場合は掘った後にできるだけ土を払い落とし、穴を埋める。 ◆下処理で味が決まる ・ノビルは洗って3分割 ノビルは洗って根(廃棄)、鱗茎、葉に分ける。茎でも白い部分は鱗茎と同じ使い方ができる。 ・カラシナは下茹で 菜花や伸びたての若葉では不要だが、ある程度展開した葉を使う場合は茹でてアクを抜く。 ・セリはよく根を洗う 水際の野草には寄生虫が付いている可能性がある。よく洗って泥と共に流し、加熱調理する。 ◆天ぷらだけじゃない!素材の味を生かした夢の野草料理(5) 1 セリ鍋 材料 セリ…1束 鴨肉(豚肉でも可)…適量 シイタケ…適量 ご飯…適量 めんつゆ…適量 作り方(1~2人分) (1)セリを念入りに洗って食べやすいサイズにカットする。 (2)希釈しためんつゆを沸騰寸前まで温め、シイタケを入れて火を通す。 (3)シイタケに火が通るタイミングでセリと肉を加え、食べる。 (4)最後はご飯を加えて雑炊に。 2 カラシナのキーマカレー 材料 カラシナ…1束 ひき肉…50~100g バター…1片 好みのカレー粉…適量 砂糖…適量 塩…適量 サラダ油…適量 作り方(1人分) (1)カラシナを細かく刻んでたっぷりのお湯で下茹でし、お湯を捨てて水けを切る。 (2)茹でたカラシナに適量の水を加えてミキサーにかけて滑らかなペーストにする。 (3)フライパンにサラダ油を入れ、ひき肉を炒める。肉に火が通ったらカラシナのペーストを加える。 (4)カレー粉を半量加えて、味見しながらカレー粉、バター、砂糖、塩を加えて調味する。 3 ノビルのチヂミ 材料 ノビル…1束 お好み焼き粉…適量 卵…1個 サラダ油…適量 コチュジャン…適量 砂糖…適量 酢…適量 醤油…適量 作り方(1~2人分) (1)チヂミにするなら若くて細い株が良い。緑が鮮やかで柔らかいノビルを採集して下処理する。 (2)お好み焼き粉(小麦粉に上新粉や片栗粉をブレンドして、鶏ガラの顆粒を足したものでもOK)に卵を割り入れ、水を加えて好みの固さにする。 (3)溶いた粉に刻んだノビルを加えて混ぜ、油を入れたフライパンで両面を焼く。 (4)コチュジャン、醤油、酢、砂糖などを混ぜ合わせたソースに付けて食べる。 4 ノビルとカラシナの餃子 材料 カラシナ…1束 ノビル…1束 豚ひき肉…適量 餃子の皮…お好みの枚数 ショウガ…適量 砂糖…適量 醤油…適量 酢…適量 作り方(1~2人分) (1)カラシナを細かく刻んでたっぷりのお湯で下茹でし、お湯を捨てて水けを切る。 (2)ノビルの鱗茎と茎の白い部分だけを選んでみじん切りにする。 (3)カラシナ、ノビル、豚ひき肉と刻んだショウガ、少量の砂糖と醤油を合わせて混ぜる。 (4)餃子の皮でタネを包んで焼く。付けダレは酢と醤油でOK。 5 カラシナの菜花のパスタ 材料 カラシナの菜花…適量 パスタ…100~150g ベーコン…適量 サラダ油…適量 ニンニク…適量 トウガラシ…適量 塩…適量 作り方(1人分) (1)塩を加えたたっぷりのお湯でパスタを茹でる。 (2)フライパンに油を入れ、弱火でニンニクとトウガラシを加熱し、香りを出す。 (3)油ににおいが移ったらニンニクとトウガラシを取り出してベーコンを炒める。 (4)パスタが茹で上がる寸前にカラシナの菜花を加えて軽く火を通し、パスタとともに湯を切ってフライパンへ。ニンニク、トウガラシを戻して絡め、塩で調味する。好みで少量の醤油やナンプラーを足しても良い。 ※食べられる野草には姿形の似た毒草があることもあります。同定に自信が持てないときは食べないようにしましょう。また、私有地で採集する場合は地権者の許可を得ましょう。 ※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一 (BE-PAL 2024年5月号より)
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