山根派一掃で内田新会長がプロ解禁、ネット投書システムなど改革打ち出す
新体制が打ち出すのは、ネットを使った目安箱のようなシステムだ。新しく作製する公式サイト上に、ヤフーで実施しているアンケートシステムのようなものを設置して、全国に約1000人いる正会員の賛否意見を聞き、審判不正や、何か問題があった場合も、そこに書き込み、執行部に届くようなシステムにしたいという。またこれまで不透明だった決算についても毎月、公式サイトに掲載して透明化をはかる。「これまで山根会長が持っていたような会長特権を一切なくします」とも内田新会長は断言した。 また大阪在住の山根元会長が就任以来、新大阪に移していた日連の本拠地事務所も引き払い、岸記念体育館内にある東京事務所に拠点を移すという。“山根城”は完全に陥落することになる。 手をつけなければならない改革は山積みだが、優先順位として、行わねばならないこととして、菊池副会長は、「公益社団法人化、不正審判問題、国体の通年開催復帰に向けての信用回復、プロとの関係修復」を挙げて、総会ではパワーポイントを使って出席者に改革ビジョンを説明した。 山根元会長が作ったプロアマの垣根を取り外して東京五輪へのプロ参加も解禁する。 「なるべく早くプロ側と話をして(元プロのアマ)指導者の問題、(プロの)五輪出場を進めていきたい。アマチュア憲章を(プロ側に)どう理解してもらうかも重要で、プロアマの垣根がなくなりすぎても困る。ただプロの五輪参加をAIBA(国際ボクシング協会)はすでに認めているので、従うべきだし選手層の幅を広げることにもつながる。東京五輪でメダルを取ることが連盟の目標。その可能性を生かしたい。五輪の代表選考のあり方も見直すことになる」と、菊池副会長。 AIBAは、2016年のリオ五輪からプロ参加を解禁し、タイの元IBF世界フライ級王者、アムナット・ルエンロン、WBA世界ミドル級王者の村田諒太に“疑惑の判定”ながら一度は土をつけた前王者のアッサン・エンダムら現役のプロボクサー4人が出場した。いずれもメダル獲得には至らなかったが、日本は、山根元会長が「プロは職業、アマは教育」の独自方針を打ち出して、リオ五輪でのプロ出場を認めていなかった。 菊池副会長は「利益をアテにしたのではという個人的印象があった」と、その理由を推測したが、もはや、プロに「ノー」を突きつける理由はない。 すでに非公式に内田新会長と、プロ側の日本ボクシング協会の渡辺均会長が協議を行っており、引退後の元プロボクサーがアマの指導者になるためのアマ資格復帰も含めた“プロアマ協約”を作りたい意向。 アマ登録を求めスポーツ仲裁機構に申し立てを行っている元ミニマム級の4団体世界王者である高山勝成に関しても五輪選考会への出場を認める方向で必要であれば話し合いの席を設けたいという。 各階級の全日本王者と山根元会長が、ほぼ独断で決めた挑戦者が対戦する「山根カップ」の勝者が、東京五輪代表になるという選考方法についても白紙に戻して、プロが参加できる形を模索したいという。幹部の中からは、WBA世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)の参加を期待する声もある。