国会運営や「103万円の壁」撤廃へ、与党過半数割れの影響は?
103万円の壁を撤廃するのに必要な財源は?財務省の役割と視点
続いては、103万円の壁を撤廃するのに必要な財源の話についてです。 国民民主党の103万円撤廃に伴う税収減は7兆円といわれますが、それを賄う予算を捻出できるのでしょうか。 木原氏は「7兆円は大きな金額。他方、1対1対応で財源がなければやってはいけないのかというと、必ずしもそうではないと思う」と語ります。 木原氏は、これまでのように、収入と支出の差し引きのプラスマイナスを見る財政を「静的モデル」と呼びます。 木原氏「静的モデルは、財政を厳しく見る立場として差し引きで考える。プラスマイナスゼロというが、経済は生き物であり、手取りが増えれば収入が増えるもので、好循環が生まれれば税収は伸びる。今の『静的モデル』だけではいけない」 木原氏はこの手取りが増えることによって経済が動くモデルを「動的モデル」と呼んでおり、「もう少し柔軟に考えるべき」と諭します。 木原氏「財務省にも役割があり、プラスマイナスの規律を取る立場。政治家は国民の生活を考えると、経済は動いており皆活動している。もう少し動的な柔軟性があってもいいのかなあと思う」 プラスマイナスの規律を取る財務省に対し、「財務省悪玉論」と厳しい指摘や声が少なくありません。イギリスの大蔵省での勤務経験がある木原氏は、一定の理解を示します。 木原氏「イギリスの大蔵省の筆頭局はマクロ経済局。マクロ経済、成長を考える。チーフエコノミストがいて、これからの成長シナリオについて描く」 日本でその役割を担うのは、かつては経済企画庁、現在は内閣府です。 木原氏「財務省の大きな役割は財政。台所事情をしっかり整理するものであり、経済全体を考える機能を明確に与えられていない」 木原氏「与えられていないモノを考えろといわれても越権行為。財務省は財政のことを考える。経済のことは内閣府、政治家、閣僚が考えるという役割分担でいいんじゃないか」 木原氏は、自身の持論として「過去30年間は規制緩和、構造改革が成長につながる時代だった。これからは財政政策や金融政策」と語ります。 木原氏「財政と成長、財政と経済が一体的に動いていかなければいけない局面だし、世界中でそうなっている。財政と経済は一体不可分で担った方がいいと思う。それで財務省が焼け太るという声があるが、経済の成長を考えた時には、財政のありようが重要」 では、現在の財務省が守っている財政規律はなぜ重要なのでしょうか。 木原氏は、「国際社会がこれだけつながっていると、一定程度海外に対して、財政の信用力を維持することは通貨の信用力にもつながる」と指摘します。 ただし、「個々の財政規律が成長につながっていることが重要。成長につながるかどうかを判断して、規律を働かせる事が重要」と、くぎを刺しました。 木原氏「国家資本主義まで言わないけれど、ある程度財政を使い合ってきている時に、日本も国が自ら出て行って、重要な技術や戦略的な不可欠性を獲得しなければならない」 財務省にも経済安全保障担当のポスト新設などの動きがあります。マクロ経済に対する考え方は、自民党の中や霞ヶ関でも変化が見られていると木原氏は分析します。
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