「新渡戸記念館」(青森・十和田市)クラウドファンディングで改修費用募る 約60年前の建築当初の姿に
三本木原開拓や国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造に関する史料などを所蔵する青森県十和田市の「新渡戸記念館」(旧市立新渡戸記念館)は16日、同館の改修費を募るためクラウドファンディング(CF)を始めた。1千万円を第一目標に12月13日まで行う。 同館の新渡戸常憲館長らが同日、館内で記者会見し概要を説明した。CFは、来年で築60年となる建物を建築当初の「あるべき姿」に再生するのが目的。同館は1965年、東京大学名誉教授で建築家の生田勉の設計により建てられたが、これまでの改修により吹き抜けの木目のルーバーが白く塗り替えられるなど当初の特徴の多くが失われているという。外観や玄関、照明などの改善にも充てる。 旧市立新渡戸記念館を巡っては、耐震強度不足を理由に廃止とした市と存続を求める新渡戸家が対立。2015年から裁判で争い、23年12月の民事調停成立を経て今年3月に市から新渡戸家へ無償譲渡された。 現況の建物の安全性についても、「6月に必要な確認手続きが全て完了した」とする新渡戸家側と、「詳細な説明を受けておらず現時点では第三者の立ち入りはできない」とする市側とで見解が食い違っている。 同館は現在、7月に設立した一般社団法人「新渡戸記念館」(新渡戸富恵代表理事)が管理運営しており、前身の「私設新渡戸文庫」時代から来年で創設100周年となる。 新渡戸館長は会見で「改修工事の内容について市に報告する義務はなく(調停条項の)不履行はない」と改めて強調。「今後100年間に向けて、地域に愛され、世界に通じる博物館にしたい」とCFへの協力を呼びかけた。 CFの詳細は「新渡戸記念館 レディーフォー」で検索できる。