ロヒンギャ難民を苦しめる“サイクロン”被害 WFPバングラデシュ代表が支援訴え「再び直撃なら深刻な事態に」
――近年、キャンプ内では教育環境の整備が進んできた一方、治安悪化が指摘されてきました。バングラデシュ政府やユニセフ(国連児童基金)の尽力により、就学児童がキャンプ内の学習センターでミャンマーのカリキュラムを学べるようになりました。これにより、ミャンマーに帰国した際には、すぐに学習を再開することができます。 またWFPでは、学習センターで給食やおやつを提供しています。これは保護者に対して、子どもを学習センターに通わせる動機をつくるためです。家族全体の食料が減っている中では、子どもたちを学校に行かせず労働させるという誘惑に駆られるかもしれませんから。子どもたちを学校に通わせるためのこうした工夫は、非常に重要です。 一方、人々が常に飢えているような状況では、治安悪化のリスクも高まります。難民の若者たちが、キャンプから出ることを許されず、働くことも許されず、食料配給に完全に依存し、妻や娘たちと食卓を囲むこともできないのです。 困窮した難民がネガティブな手段に訴えるというリスクもあります。命がけでボートでバングラデシュを離れ、人身売買や麻薬取引に巻き込まれるかもしれないのです。だからこそ、私たちは国際社会に対して、支援の必要性を訴え続けなければなりません。 ――日本社会へのメッセージをお願いします。 日本社会はこれまでWFPを通じて、ロヒンギャコミュニティに多大なる支援を行ってくれました。日本の皆さんのあたたかいご支援に感謝します。その上で、日本が他の国々にも支援を継続するよう働きかけることができれば、それは非常に強いメッセージになるのではないでしょうか。日本は世界中で非常に尊敬されているのですから。