インデックスファンドに新風を吹き込む、アムンディ・インデックスシリーズのインパクト
欧州最大、世界でも屈指の運用会社であるアムンディが、2024年6月28日に「アムンディ・インデックスシリーズ」を立ち上げた。国内投信市場におけるインデックスファンド・ブームは2024年1月にスタートした新NISAによって、一段と加速した感があるものの、すでに多くの運用会社からインデックスファンドが提供され、商品ラインナップも豊富だ。その中で新たなインデックスファンドをシリーズで立ち上げる狙いはどこにあるのか? アムンディ・ジャパンのヘッド・オブ・ETF・インデックス・スマートベータ・セールスの佐々木康平氏(写真:右)と投信ブロガーとして活躍するたぱぞう氏(写真:中央)、そして、ウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)がインデックスファンドをテーマに対談した。 ◆アクティブ運用のアムンディから「インデックス」 朝倉 アムンディは、日本においてはアクティブ運用で定評ある運用会社ですが、このたび、日本でインデックスシリーズをリリースされた、その狙いと背景について教えてください。 佐々木 アムンディの運用資産は現在約370兆円ですが、その中で70兆円程度がインデックス関連のファンドになります。これからは、アムンディも日本においてインデックスファンドにも注力していきたいと考えています。 今回、3つのファンドをシリーズとして立ち上げました。1つは、「オールカントリー・高配当株」、「オールカントリー・大型成長株」、そして、「インド株」です。 朝倉 世の中一般の「オールカントリー」というと、時価総額基準で約2,700銘柄の全世界の株式に投資するのですが、「高配当株」だけ、また、「大型成長株」だけで「オールカントリー」というのは、これまでありませんでした。インド株は「Nifty50」のインデックスファンドで最低水準の信託報酬率になっています。 佐々木 多くの方々が既に「オールカントリー」のインデックスファンドに投資をされている一方で、「オールカントリー」というインデックスファンドがすべての投資家のニーズ、投資目的に合致しているのかというと、多分そうではないと思います。 たとえば、「高配当株」を買いたいと思ったときに、一つ一つの銘柄の配当利回りをチェックして、さらに、その配当利回りで、実際に配当が毎回でているのかをチェックすることは、ハードルが高いと思います。その点、今回の「高配当株」インデックスは、600銘柄程度に投資をしますが、配当利回りが高い銘柄、持続的な配当が可能と考えられる銘柄を選んで投資をし、その得られた配当を、分配金として投資家の方々に分配します。配当もほしい、全世界の株式にも投資をしたいという方にはぴったりなファンドではないかと思います。 また、「大型成長株」は、直近は大型テック企業を中心とする相場になっていますので、そのような銘柄に投資したいと考える方には「大型成長株」が一つの投資対象になると思います。 そして、「インド株」は、ホットスポットになっていると思います。「オールカントリー」にもインドは入っているのですが、今のウエイトは2%くらいと非常に小さくなっています。「Nifty50」に極めて低コストで投資ができる投資信託になっていますので、インド株にダイレクトに投資したいとお考えの方にお勧めです。 ◆「オールカントリー」の「高配当株」「大型成長株」の魅力 朝倉 今回の3本のファンドは素晴らしい観点だと思うのですが、たぱぞうさんはどう思われますか? たぱぞう とても良いと思います。私のブログの読者の皆さんもコアにするアセットはあまり迷わないのです。だいたい、「オールカントリー」、「S&P500」、「VTI(全米株式)」とかになります。皆さん迷われるのは、サテライトで自分のポートフォリオに色を付ける時にどうするかです。この3つのファンドはまさに今の投資家の方々のニーズに沿った3本だと思います。 「高配当株」も「オールカントリー」を対象にしながら年4%近い利回りがでています。こういうのは、あまりなかったと思います。また、大型テックと今の産業革命の流れは無視できないと思っています。大型テック、大型グロースが伸びると考えている人には、大型株に絞った方が良いでしょう。今年の好調な「S&P500」は、9月末までに20.8%上昇していますが、より時価総額の大きな大型株で構成した「S&P100」だと26%超のリターンになっています。資産形成期にある方には特に、大型株に寄せた成長株はニーズがあると思います。 朝倉 この意見について佐々木さんは、どう思われますか? 佐々木 「オールカントリー」をユニバースにすると約2,700銘柄の中から600銘柄程度を選ぶということになりますので、たとえば、米国株のウエイトは「オールカントリー」ですと6割くらいになりますが、これが「高配当株」で絞ると5割くらいにまで少し下がりますし、いろいろな国の配当の高い銘柄をバランスよく組み入れられます。また、半年に1度、銘柄がブラッシュアップされますので、その時々で配当利回りが高く、配当がしっかり出ている銘柄を全世界株の中から選ぶというスキームは、他にはないと思います。国内初めての商品ですので、自信をもってアピールしていきたいと思っています。 ◆インデックスを組み合わせる楽しみ 朝倉 「高配当株」のトップ10にはスイスのネスレやノバルティスが入っていて、米国でもエクソンモービルとかプロクター・アンド・ギャンブル、コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどが入っています。マグニフィセント・セブンと言われるような大型成長株とは、大きく異なる、いわゆるバリュー系の銘柄群になります。「オールカントリー」のインデックスファンドは、「マグニフィセント・セブン」の組入比率が高いので、それと、高配当を組み合わせれば魅力的だなと思います。 佐々木 「高配当株」は基本的にバリュー色が強くなります。マーケットが上がっていくタイミングはグロース相場の色合いが強くなりがちで、その場合は、大型成長の方がパフォーマンスは良くなりやすく、反対に下落相場の時には、高配当株の方がパフォーマンスは良くなりやすいという傾向があります。マーケットが弱いなと感じる時には高配当株のウエイトを高めるような投資の仕方もできます。 実際に2000年から、「高配当株」と「オールカントリー」を持っていた場合はどうなるかを振り返ると、2000年から2019年までは「高配当株」の方がパフォーマンスが良かったのです。これは、下落相場でそれほど下落していなかったために、その後の上昇相場に付いていきやすかったという部分があります。「大型成長」と「高配当株」を使い分けることもできると思います。 朝倉 景気に不透明感が高まってきていますから、こういう時だからこそ、組み合わせをしていくことも必要ですね。バリュエーションをみると、株価収益率とかPBR(株価純資産倍率)とか、いろんな指標を使いながらも、バリュー系とかは比較的割安ですね。そういうところを自分で検討してチョイスできるようになるのはいいことだと思います。 たぱぞう これらは信託報酬も安いですね。特に、「高配当株」の場合は、同じ指数をトラックしているファンドが他にありませんよね。世界初ですよね。それが、0.15%(税抜き)でできているから、全世界株式の高配当版として「この水準で他の運用会社が出せるのか」という挑戦状のようなところがありますよね。 佐々木 今の日本の個人投資家の投資商品に対する投資の伸び方は、圧倒的に高いものがあります。そこに対して、私どももチャレンジャーとして頑張りたいという思いもあります。 ◆「インド株」は国内最低水準の手数料 朝倉 「インド株」は個人で投資することが難しいですから、年0.255%(税抜き)の低コストで出していただけるのは投資家にとってはありがたいですよね。個別の株式は調べるのも大変なところがありますから、これだけ安いコストで出してもらえると投資家にはありがたいと思います。一人ひとりに最適なポートフォリオを作ってもらいたいという思いが伝わってきます。 佐々木 私どもアムンディは、欧州ですでに70兆円以上のインデックスファンドを運用している、欧州で一番大きな運用会社です。日本でもインデックスファンドを新しい選択肢として提供していきたいと思っています。 オールカントリーの「高配当株」と「大型成長株」、そして、「インド株」というこの3つのファンドを皆様の選択肢の1つに入れていただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
ウエルスアドバイザー