治験支援のアイロムGがMBO、米ブラックストーンが過半出資へ
(ブルームバーグ): 東証プライム市場に上場する治験支援サービスのアイロムグループは13日、経営陣が参加する買収(MBO)を実施し、非上場化を目指すと発表した。米投資会社ブラックストーン・グループが株式公開買い付け(TOB)で55%の株式を取得し、残りの株式を創業家が保有する形で共同経営に当たる。
アイロムGの開示やブラックストーン日本代表の坂本篤彦氏によると、TOB価格は1株当たり2800円で、13日の終値(1873円)と比べて約50%の上乗せとなる。TOBの開始時期については、国内外の当局の認可を前提としているため、現時点では未定。
創業家はTOBに一部応募するなどして、最終的な持ち分は45%となる。森豊隆社長は引き続き経営を担う。
アイロムGのウェブサイトによると、同社は製薬会社と医師の間に立って、医療機関の治験業務を支援する大手。がん領域などに強みを持つ。日本以外に豪州でも事業展開している。
新薬の国内販売に際しては、日本国内で治験を行い、国内の医療環境で使用した場合のデータを含めて当局に承認を申請することが多い。ただ、海外の創薬メーカーは日本市場をそれほど重視していない場合などに費用のかかる治験を日本で行わないケースもある。
アイロムGは多数のヘルスケア関連企業に投資実績のあるブラックストーンとの協業を通じて創薬メーカーに日本での治験を働きかけるなど、海外で承認済みの新薬が日本に入ってこないといった問題の改善につなげる。
また、5年以内の再上場を目指すとし、非上場化した後に社員らにストックオプション(株式購入権)を付与、企業価値向上や次世代幹部の育成を狙うともした。
ブラックストーンの坂本代表は、治験支援サービスに経営資源を傾けるほか、「海外に強みがあるブラックストーンとして豪州事業のてこ入れも図りたい」と指摘。取締役を含む3、4人の人材を派遣する意向を示した。アイロムによる企業の合併・買収(M&A)を資金面も含めて支援するとも述べた。