TikTok がインスタグラム化? なぜ今「写真投稿」に力を入れはじめたのか
独自の方法でカルーセル機能を活用するブランドも
生理用品ブランドのオーガスト(August)は、2022年にTikTokでこの機能が利用可能になった直後から、写真のスライドショー投稿を開始した。同社は動画の投稿もしており、どちらもうまく機能している。オーガストのコンテンツマネージャーを務めるルビー・ムーン氏は「スイートスポットにヒットさせることが重要だ」とモダンリテールに対して語った。「カルーセル機能を含むトレンドが発生しているからという理由でその機能を使用している場合は、確かに少しは良い結果をもたらすだろう。しかし、それと同時に動画が口コミで評判になったことも関係していると思う」。 一般的にカルーセル投稿は、後半のスライドで何らかの「公開」を要するトレンドのプロンプトに適しているとオーガストは考えている。通常、1スライド目にはジョークの段取りを含み、2スライド目がオチになる。オーガストはまた、カルーセル機能を使って、商品写真や撮影風景を発信したり、情報を視覚的に表現したインフォグラフィックスで情報を伝えたりしている。たとえば同社のTikTokでの人気投稿のひとつは、米国の多くの州で消費者が生理用品を買った際に支払う消費税に関するカルーセル投稿だ。 一方スキンケアブランドのバブル(Bubble)は、ミームを作ったり、商品やその使い方について視聴者に紹介したり、「ある日の生活(day-in-the-life)」というコンテンツを公開したりするためにカルーセル投稿を選んでいると、同社コミュニティディレクター兼ソーシャルメディアディレクター代理を務めるマリアンヌ・ロビンソン氏は電子メールで米モダンリテールに回答した。バブルは昨年3月に最初のカルーセル投稿を公開している。「ユーザーが自分のペースでコンテンツを消化し、閲覧することができる。ユーザーはこれを気に入るだろうし、むしろ好まれると私は信じている」。 デジタルメディアマーケティングの専門家でストラテジスト、そして講演者でもあるリア・ハーバーマン氏は、TikTokが写真投稿を推奨している理由は、同プラットフォームが「あらゆる人にあらゆるものを提供しようとしている」からだと米モダンリテールに語っている。誰もが動画を投稿したいわけではなく、今日のソーシャルメディアユーザーの多くは写真を投稿することに慣れているため、カルーセル投稿に参入するハードルは低いと同氏は言う。 ハーバーマン氏はTikTokのカルーセル機能はインスタグラムのものよりも不便だと感じているが、ストーリーテリングの点においてはTikTokの機能の方が適していると考える。「2、3年前には『フォトダンプ(photo dump)』という、写真のキュレーションをほとんどせずに、撮りためた大量の写真をただまとめて投稿するだけの文化があった」と同氏は話す。「TikTokでは、写真をキュレーションする理由や方法に、より意図や目的があるように思える」。