暴言などで刑務官7人処分 勝手に押印も 名古屋刑務所
名古屋矯正管区と名古屋刑務所(愛知県みよし市)は6日、2022年3月に同刑務所で死亡した男性受刑者=当時(71)=に暴言を吐くなどの不適切な対応をしたとして、刑務官7人を戒告や訓告などの処分にしたと発表した。 うち1人は、受刑者の人さし指にインクを付けて書類に押印したとして、私印不正使用容疑で名古屋地検に書類送検した。 7人は20~40代の男性看守。6人は受刑者に暴言を吐いたり、扉をたたいたりするなどの不適切な対応を取った。書類送検された1人は、重症で意思疎通が困難だった受刑者に対し、必要な説明をせずに左手人さし指にインクを付けて書類に押し付けた。 受刑者は22年3月、多臓器不全で死亡。遺族側は23年4月、適切な医療を提供しなかったために死亡したとして、国に約3800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。 遺族によると、同刑務所の総務部長らが5日、遺族に対し処分内容の説明や謝罪をしたという。遺族側代理人の海渡雄一弁護士は6日、「(謝罪は)異例の対応。刑務所や矯正管区が進んで改革をしようとしている」と話す一方、「暴言がある状態で適切な医療がされているわけがない。訴訟対応についても見直してほしい」と述べた。 同刑務所の吉弘基成所長は「研修などあらゆる機会を通じて職員の指導を徹底し、不適正処遇の根絶に努める」とするコメントを発表した。