福岡県内のホームレス、過去最少163人だが…「今のままでいい」路上生活長い人ほど多く「固定化」課題
福岡県内のホームレスの人数(今年1月時点)が163人となり、調査を始めた2003年以降で過去最少となったことが県のまとめでわかった。近年は人数の減少傾向が続いているが、一方で、高齢化や路上生活を長年続ける「固定化」への対応が課題となっている。(山本光慶) 【グラフ】福岡県内のホームレスの年齢比
厚生労働省が行った全国調査の一環で、市町村の担当者が目視で調査した。県内のホームレスは前年から50人減少し、調査開始以降で初めて200人を下回った。ただ、大阪府(856人)、東京都(624人)、神奈川県(420人)に次ぐ人数で、7年連続で全国4番目の多さだった。
地域別では、福岡市の106人が県内最多で、北九州市が50人、久留米市が5人、春日、宗像市が各1人と続いた。生活エリア別では、商業施設やバスターミナルなどの「その他施設」が63人、「都市公園」が43人、「道路」が38人、「駅舎」が10人、「河川」が9人だった。
都市圏への集中がみられる中、高齢化も顕著になっている。
県内のホームレス103人を対象にした生活実態調査(2021年)では、30歳代が2人など若い世代は少なく、年齢が上がるほど人数が増え、70歳以上は39人だった。平均年齢は63・8歳で、前回調査(17年)の61・1歳から上昇した。
78人を調査した福岡市では、60歳以上で5年以上路上生活している人が37人いた。また、今後の自立計画について「今のままでいい」と答えた人は路上生活期間が長い人ほど多く、高齢化に加えて固定化も課題となっている。
県は今年3月、「ホームレス自立支援実施計画」(24~28年度)を策定し、健康相談や保健指導の実施、中高年者の県営住宅入居を図ることなどを盛り込んでいる。
県保護・援護課の担当者は「今後もホームレスの人数は減少するとみられるが、高齢化していることもあり、巡回相談などで早期に医療・福祉的支援につなげることが重要になる」と話している。