Bloomberg

（ブルームバーグ）： キリンホールディングスによる株式公開買い付け（ＴＯＢ）期間中のファンケル株を、香港のヘッジファンドが５％超取得したことが明らかになった。この株式取得は、投資家が団結してキリンＨＤにＴＯＢ価格を引き上げるよう圧力をかけるための呼び水になり得ると、関係者は述べた。

17日開示の大量保有報告書によると、米ヨーク・キャピタル・マネジメントから分離したアジアヘッジファンド、ＭＹ．アルファ・マネジメントＨＫアドバイザーズの保有比率は７月16日時点で5.09％になった。キリンＨＤが、ファンケル株の全株取得を目指して、１株2690円で総額2200億円にのぼるＴＯＢを実施するさなかのことだった。

ＭＹ．アルファの投資方針は積極行動主義（アクティビズム)を認めていないため、ＴＯＢ価格の引き上げを主導する可能性は低い。しかし、大量保有した事実は、他の株主を動かすきっかけになるかもしれない。キリンＨＤが提示した2690円は、６月11日時点の終値（1916.5円）に対しては約４割のプレミアムがついているが、５年前にファンケルの創業者に支払った取得額に比べると18％低い。

この件に関して、ＭＹ．アルファとキリンＨＤの広報担当者はコメントを控えた。

日本では、すでにかなりの株式を保有する株主がＴＯＢを実施する場合、その影響力の大きさから買収金額を不当に低く設定し、他の株主に不公平になることもあり得るため、批判を浴びることがある。半面、政府による企業統治（コーポレートガバナンス）改善への取り組みにより、株主は高いリターンを要求するようになっている。

現時点でオアシス・マネジメントやエリオット・インベストメント・マネジメントなど、日本で知名度が高いヘッジファンドは傍観しているようだ。しかし、ある関係者によると、キリンＨＤの買収価格が低すぎると考える投資家は、取引所への開示の必要がないブローカーとのスワップ取引を通じて、大きなポジションの一部または全部を保有している可能性がある。こうした取引はその後容易に株主に変わることができるため、キリンＨＤのＴＯＢを阻止することは可能だ。