大阪・阪堺電車。あべのハルカス効果でチンチン電車の乗降者数が前年比3%増
大阪唯一の路面電車である阪堺電車(阪堺電気軌道)。いわゆるチンチン電車だが、あべのハルカス効果で、今や乗降者数が前年比3%増しだと言われている。実は一時期、路線廃止もささやかれていただけに、うれしい現象と言っていいだろう。阪堺電車は2路線あり、堺の風物詩のひとつで、明治44年の開業以来、堺市民の足として長きにわたって活躍している。今年3月に「あべのハルカス」が全面開業したことが大きく影響し、最近は遠方からの観光客にも注目を浴びているという。
乗客増は「あべのハルカスのおかげ」
「あべのハルカスがオープンして、さらに乗降客が増えています。4月からICカードもやってますしね。数字で言うと、前年比3%アップです。団体さんが増えていることや阿倍野から住吉さんへお寄りになるとか、そういう観光客も増えていることが影響していると思われます」(阪堺電気軌道) 実際、沿線には住吉大社をはじめ、浜寺公園、帝塚山、安倍清明神社など、観光スポットは多い。駅員に話をぶつけると、「はい、乗客は増えてます。あべのハルカスのおかげです。写真を撮りに来るファンも見かけますね。入場料はいりません。自由に撮ってもらってけっこうですよ。お客さんには気をつけて下さいね」と、いたって明るい。
かつては、路線廃止が噂になったことも
今でこそ元気な声が聞こえるが、かつて阪堺電気軌道は、路線廃止が噂になったことがある。利用者の減少や、2000年に国土交通省から出された安全対策事業の推進が資金的に困難だとして、2003年に我孫子道以南の堺市内区間について廃止を含めた協議を堺市に申し入れたのだ。これに対し堺市では、安全対策事業への補助や、かねてから東西鉄軌道として構想されているLRT(次世代路面電車システム)建設計画があり、同路線の存続と、2010年度を目途にLRTとの相互乗り入れ実現を目指す方向で話を進めていたと言われている。 しかしその後、現状維持の方針が決まり、いっぽうで堺市は阪堺線支援策を提示。2011年1月15日より、存続に向けて以下の利用拡大策が実施された。 ・阪堺線上町線の2区間運賃を290円から200円に値下げ。差額は堺市が負担する。 ・65歳以上の高齢者の特定日(月~金)の利用を100円均一とする。 ・堺市内区間および堺市内の南海バス路線を対象としたフリー切符の販売。 (他にも老朽化対策支援など)。