セットプレーを生かして柏に勝利を掴む

貴重な先制弾をを永井が挙げる。これがチームとしての今季初ゴールとなった。写真：滝川敏之

［J1第４節］柏 ０－２ 名古屋／３月16日／三協フロンテア柏スタジアム 　開幕から無得点、３連敗と苦しんでいた名古屋が、J1・４節のアウェーでの柏戦で、待望の今季初勝利を掴んだ。 【動画】永井＆ハ・チャンレがゴール！ 名古屋が連敗ストップ＆今季初勝利 　キャンプから取り組んできた３－１－４－２ではなく、昨季も採用した３－４－２－１（守備時は３－４－３）で臨んだ一戦では、序盤から柏にチャンスを作られたが、18分に右からの森島司のFKをハ・チャンレが頭で落とすと、相手の隙を突いた永井謙佑が冷静にシュートを流し込む。 　その後はなんとかピンチを凌ぐと、62分には今度はハ・チャンレがCKから追加点を挙げ、２－０で待望の白星を掴んだ。 　試合後、安堵の表情を浮かべた長谷川健太監督は、「選手が戦ってくれた結果が、初ゴール、勝利につながったと思っています。多くのファミリーの方が応援に来てくれて、セットプレー絡みでしたがゴール、勝利という結果をプレゼントできたのは選手が戦ってくれたお陰です」と振り返る。 　そして「これからは引き続き内容をもっと良くしていくために、準備をしていきたいです。次の一勝が大事なので、ここからどんどん這い上がっていけるように準備をしていきたいです」と続けた。 　 　今オフには中谷進之介、藤井陽也、丸山祐市らがチームを離れ、最終ラインの顔ぶれは大きく入れ替わった。そのなか、勝利に結びつかなかった背景を指揮官もこう説明する。 「我々の準備不足だったと思います。メンバーが変わったなかで出し手の部分が変わったので、そういうところをシーズン前にもっと準備できれば、もう少し違ったと思いますが、守備の構築だけでなく、攻撃の起点にディフェンス陣がなるので、そこが変わった影響は非常に大きかったと思います」 　その状況で柏戦では「１アンカーを捨てたわけではない」と指揮官は話しつつ、慣れ親しんだ２ボランチの形をチョイスし、そこにいぶし銀の米本拓司、稲垣祥を起用し、勝利につなげた。 　各選手から勝利への気迫がいつも以上に感じられ、米本、稲垣を軸に、身体を張る守備が蘇った印象だ。 　もっとも今季はキャンプからビルドアップなどを磨いてきただけに、そうしたプラスアルファを今後にどうつなげていくのかが大きなテーマになるのだろう。 　さらにキャンプで準備してきた、この日はベンチに戻ったキャスパー・ユンカーとシャドーで先発した山岸祐也の２トップなど、攻撃面を強化する策をどう示すのかも注目される。 「本当にベーシックなところだと思います。ベーシックなところをもちろん今までもみんな出そうとしていたし、その気持ちがなかったわけでないけど、出せる環境が整ったというか、しっかりやることが整備され、そういうベーシックなところを表現できる形で試合に臨めたことが勝因かなと思います」と語った稲垣もこう口にした。 「ヨネくん（米本）とダブルボランチで、このシステムでやったら、これくらいできるというのは、なんとなく分かっていましたし、もちろん手応えはありますが、そこから先を求めながらやっていきたいです。 　一勝できましたが、すべてがこれで変わるわけではないですし、状況を考えるとまずは今日の戦い方をベースに、勝点を拾っていかなくてはいけない。その作業をしながら少しずつ肉付けをして成長していくイメージかなと感じます。 　自分たちの強み、それぞれのストロングを出せないと、結果はJ１の舞台ではついてこないと改めて感じたので、そこはひとつ、今日の試合は整理しながらできたかなと」 　そして稲垣は続けた。 「（最終ラインは）昨シーズンから変わったというのはありますし、キャンプで積み上げてきたところから怪我人が出て開幕戦からメンバーを含めて変わってしまった。そうするとやれることも限られてくるし、それまでやれていたこともやれなくなる。じゃあ、やれていたことから入ろうとなると、積み上げてきたものがなくなってと、悪循環になっていた部分があると思うので、そこを整理しながら今日の試合はできたかなと思います」 　この一戦で感じられたのは大きな変化ではなく、ベースの見つめ直しであり、柏戦の一勝はいわばスタートラインに立ったことを示すように映る。今日のパフォーマンスがまずありきで、今後の強化こそが鍵を握りそうである。 取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）