世界トップの「バイク生産国」日本でなぜ人気低迷?
人気不振につながった?「三ない運動」
ただ、その多くは法律絡みの問題になるため、土居副会長は「がんじがらめの状態で簡単にはいかない。しかし何とかしないといけない。多くの皆さんの協力を得ることが大事です」と決意を語ります。自民党や公明党などのバイク議員連盟などにも何回も働きかけ、「2020年までには国内のバイク販売100万台回復を目指し頑張っています」。 バイク人気の不振につながった大きな要因の一つとして、業界が挙げるのが「三ない運動」。暴走族などの問題をきっかけに免許を取らせない、バイクを買わせない、バイクを運転させないという3原則を徹底させる高校などが現れ、30数年前からはPTAの全国組織なども提唱。その後、「禁止より安全教育こそ大切ではないか」といった反省や批判もあって「数年前には三ない運動の宣言文は出されなくなった」(土居副会長)。しかしこの間の打撃は大きく、いまだに業界では「三ない運動」の決定的な影響が語られています。 このため文科省への要望として挙げた「交通教育の義務化」も、車やバイクの正しい乗り方や安全な運転法をしっかり指導することによって、バイクへの認識を改めてもらい、ほかの多くの改善事項とともに社会的に認知される存在としてバイク利用を広げてもらう狙いです。連合会も独自にバイクの魅力を伝えるフェスティバルなどを催しています。 このほか、バイク免許は排気量400CC以下の普通二輪免許が取りやすいものの、「海外では600CCが標準的」(連合会)とされるため、メーカーも海外向けに力を入れ、国内向けの400CCバイクは盛り上がりに欠けるとも見られています。このため現在のバイクの免許制度を変えて、普通二輪免許で600CCまで運転できるよう変更すべきだとの意見も出ています。
世界での存在感と国内人気のギャップ
こんな日本の事情をくみ取ってBMWは普通二輪免許で乗れる313CCのバイク「310R」を会場に展示。「BMWが普通免許で乗れるバイクを出した」と関心を集めていました。これまでBMWのバイクは、ハーレーなどとともに外車の中でも特別のブランド力を持ち、排気量1000CC以上の車種が注目されることが多かったため、普通二輪免許所持者には遠い存在。それだけに実際にバイクにまたがってうれしそうな来場者もいました。 多くの課題を抱えたバイクの世界ですが、会場に来ていたBMWのバイクに乗る千葉県の社長男性(66)は「若い人たちの趣味が多様化したこともバイク人口の減少につながっているのではないか」と話します。さまざまな要因が重なって続いてきたバイク不振ですが、会場の関係者たちは「これだけ多くの来場者がいるので、核になるバイクファンはちゃんといることは間違いない。若者も中高年も含め、よりバイクに乗りやすい環境整備を進めるため販売業界、メーカー、政府の協調を期待したい」と話していました。