世界トップの「バイク生産国」日本でなぜ人気低迷?
THE PAGE
国内でのかつてのバイクブームが去り、販売業界は「もう一度復活を」と懸命の巻き返しに動いています。バイク不振の背景は、免許制度の壁、規制強化、安全教育の不在、不況や若者の趣味の多様化など多岐にわたり、「その多くは法規制が絡むがんじがらめの世界」と嘆きの声は高まる一方。世界トップのシェアを誇るバイク生産国の日本で、規制緩和や経済刺激策に逆行する動きが収まらないのはなぜか。3月25日から3日間、東京ビッグサイトで開かれた第43回東京モーターサイクルショーで、その背景を探ってみました。
4省庁に業界団体が8つの要望
東京モーターサイクルショーは、バイクメーカー各社や販売店の業界団体、パーツ・アクセサリー、バイク雑誌など関連メディア、レース関係、海外メーカーなど約100社が出展する年に1度の総合的な展示会。期間中、会場は若者から中高年まで幅広い来場者で熱気があふれていました。 その会場のコーナーで来場者に懸命に署名を呼びかけていたのは全国オートバイ協同組合連合会。全国の二輪車販売店1500社で構成する身近なバイク店の全国組織です。署名を訴えていた内容は8項目に上ります。まとめてみると……。 警察庁に対し、(1)現実に即した二輪車駐車違反の取り締まり (2)二輪車の高速道路路側帯の渋滞時、悪天候時の避難利用 (3)小型二輪(125CC未満)免許の取得簡便 国交省に対し、(1)有料(高速)道路における二輪車通行料金の引き下げ (2)二輪駐車場の建設促進 (3)二輪ETC車載器購入に対する助成金の復活 経産省に対し、(1)2サイクル二輪車からの乗り替え、エコ助成金の支援 文科省に対し、(1)交通教育の義務化
最盛期の8分の1まで落ち込んだ販売
4つの省庁にまたがるこれらの要望はいずれもバイクの販売に直結する問題として連合会は重視。これらの問題が解決されないため、「バイクに乗りにくい環境」が放置されたり助長されたりしていると見ています。例えば、首都圏を中心に厳しい駐車違反の取り締まりが行われたが、大都市では駐車料金も高く、また二輪の駐車場自体が不足しており、バイクを手放したり購入を控えることにつながったと見ます。 また、高速道路では路側帯の通行はできませんが、渋滞や悪天候の際はバイクの路側帯通行を許してスムーズな交通の回復に寄与させてほしいとの要望。特に強い風雨などの悪天候時は渋滞で長時間にわたりノロノロ運転を続けることは疲労とストレスでライダーを危険にさらし、転倒などすれば交通の混乱に拍車をかけることになると指摘するライダーも少なくありません。 高速道路などでバイクは軽自動車と同じ料金になっていることに対しても「700~800キログラムから1トン近い軽自動車に比べ100数十から200~300キログラム前後の車重のバイクは道路への負担も少なく、占有面積の差から見ても同一料金はおかしい」とかねて指摘されています。 これらの要望の背景には、最盛期の8分の1まで落ち込んだバイク販売の惨状があります。署名を呼び掛けていた連合会の土居光夫副会長は「バイクブーム最盛期の30数年前には全国で年間320万台も売れたが、昨年は国内で39万台しか売れていない」と話し、バイクに乗りやすい環境をつくり出すにはこうした障壁をなくしていくことが迫られている強調します。