【AI搭載バス】運行拡大の効果に期待(8月23日)
喜多方市は、人工知能(AI)を搭載した予約型乗合交通車両(オンデマンドバス)の運行範囲を10月から山都、高郷の両地区に拡大する。2022(令和4)年度に導入した喜多方市中心部、塩川、熱塩加納の3地区の利用が好調なのを受けた対応だ。市内の広い範囲で、市民の利便性向上と地域活性化に寄与するよう期待したい。 オンデマンドバスは2011(平成23)年度に運行を始めた。料金は走行距離に関わりなく中学生以上400円、小学生以下250円に設定されている。市街地から郊外、郊外から市街地、郊外から郊外の3ルートがある。2021年度のAI導入前は8~13人乗りの車両を9台運行し、年間利用者数は約2万人だった。導入後は1台減らしながらも、2023年度の利用者数は約3万6千人と1・8倍に増加した。 2022年度から電話に加え、スマートフォンの専用アプリでの予約が可能となったことで24時間受け付けが実現し、利用に弾みが付いたと市は分析している。AI導入前は、あらかじめ定めた9コースでの運行に限定していたが、導入後は自由に乗り降りできる仕組みに変更したことが利用者増をもたらした面もあるようだ。
運行範囲の拡大により、熱塩加納、塩川の東部エリアと山都、高郷の西部エリアが間接的に結ばれる。利用者登録すれば、市外から訪れる観光客も利用できる。旅行商品とも組み合わせ、誘客促進を目指してほしい。 AIの効果的な活用によって、ルート設定や配車が最適化され、運行経費節減に結び付いている点にも注目したい。導入前後の年間経費を比較すると、歳入は約500万円増えた一方、歳出は約250万円減り、収支率は11%から20%に改善した。市が毎年実施している調査でも、市民の満足度は上昇している。 喜多方市の面積は約555平方キロで、県内市町村で6番目に広い。日常的な買い物や通院などに際し、車の免許を持たない高齢者らの交通手段の確保は欠かせない。AIオンデマンドバスの運行範囲の拡大を利用者の取り込みと安定的な収益につなげるため、市は利便性を高める施策を引き続き積極的に講じるよう求めたい。(石井賢二)