65歳すぎると「無症状の脳梗塞」が激増する…!? カラダの「爆弾」を見逃さない「人間ドック」の正しい受け方
設備と腕前は比例しない
まるでホテルのように美しい調度品、フカフカのソファにシャンデリア、美人の受付嬢――。 【一覧】健康診断は、血圧より「尿検査」「眼底検査」の結果を見ないと命にかかわる… 近年、都市部で人間ドック専門の高級クリニックが増えている。検査費用は一般の病院の相場がおよそ3万~8万円のところ、10万~70万円ほどとなかなか高額だ。まず100万円超の入会金が必要な会員制クリニックもあり、そうした中には「オプション検査の豊富さ」を誇るところも少なくない。 だが当然ながら、設備の豪華さが検査の腕前と比例するわけではない。産業医・内科医でウチカラクリニック代表の森勇磨氏は「むしろ、オプション検査をたくさんつけた『フルコース』を受けさせようとする病院はやめたほうがいい」と言う。 「人間ドックの検査項目は玉石混交で、万人にとって役立つものばかりというわけではありません。しかも保険適用ではないため、たくさん検査を受けてもらうほど病院側がもうかる。あまりにビジネス重視のクリニックは、検査を受ける人に誠実とは言えません」 人間ドックの基本検査項目は、日本人間ドック学会によって決められているので、病院ごとに大きな違いがあるわけではない。とはいえ、どうせ受けるなら、熟練したところで受けたいものだ。
信用できる病院の見分け方
じつは、人間ドック学会はそうした信用のおける施設に「お墨付き」を与えている。認定を受けた病院は機能評価認定施設と呼ばれ、全国に435ヵ所がある。大学病院や大病院にかぎらず、中規模の病院も少なくないので、可能であれば同学会の公式サイトで近くの施設を探そう。 「病院選びをするときは、これに当てはまる病院に問い合わせたうえで、『検査項目を自分で選ばせてくれるかどうか』や『気になる検査項目の専門医資格をもつ医者がいるかどうか』を聞いてみるのがいいでしょう」(前出・森氏) たとえば胃カメラひとつとっても、「消化器内視鏡専門医」という資格がある。専門医イコール名医とまでは言い切れないものの、ヘタな医者に当たる確率は下げられるはずだ。 では、数あるオプション検査の中で、専門家が「追加するべき」と考えるものはどれなのか。 第1章で、健康診断の検査項目の多くは「血管のダメージ」を見るものだと述べたが、人間ドックではこの点をさらに深掘りすることができる。前出の森氏がすすめるのは心臓CTだ。 「心臓CTは別名『カルシウムスコア』といって、心臓に栄養を送る冠動脈にカルシウムが沈着していないかどうかを調べます。心臓の血管のダメージだけでなく、全身の血管の状態も、より詳しく知ることができます」