今ではすっかり当たり前……バス接近表示やバスレーンを普及させた「都市新バス」の正体とは!?
■見た目ですぐに分かった都市新バス
都営バスは都市新バスとは別に、1982年にはバスロケーションシステムを早稲田営業所で導入していたが、これは単純に、従来の路線バスに位置情報を示す装置を組み合わせただけのものだ。 運輸省の定めたより高度な基準に合わせ、従来の路線バスとは一線を画す、都市新バスという新しいシステムとして誕生したのが、渋谷営業所が管轄する都01系統だ。 車両は三菱ふそう製を採用、当時の三菱ふそうはエアロスター誕生前のため、標準車両はいわゆる「ブルドッグ(B35型ボディ)」であった。 ただし都01系統で使用する車両には専用車両が用意されることになり、三菱ふそうP-MP118Kに呉羽製の特注スケルトンボディを架装。 このボディは、後に呉羽製エアロスター(エアロスターK)のベースになったとされる。車体デザイン以外にも、当時としては画期的な冷房を搭載したほか、掛け心地の良いハイバックシートや上部引き違い窓といった高級装備を採用。 2番目の路線となる都02系統用車両からは、エアサス仕様を導入している。また行先表示をカラー化し、都市新バスについては一目で分かるようになっている。 最初の路線である都01系統には、グリーンシャトルという愛称が付けられ、以降誕生する他の路線にもすべて、「グリーン~」という愛称が与えられている。 1994年に開設された都08系統まで、8路線が運行されている。
■デジタル表示が目を引いた東急バス
都営バスから遅れること約2年、1986年に誕生した東急バス新交通システムは、東京急行電鉄(現東急バス)が約6億7千万円を投じて開発した都市新バスシステムで、目黒駅を起点とした6つの路線に採用された。 各停留所に設置された受信装置からバスの現在地情報を営業所へ転送、目黒駅を発車する次のダイヤにどの車両を割り当てるか、といった管理を行う。 渋滞によりダイヤが乱れた場合も、適切なダイヤが組めるように、他路線の車両を充当したり、等間隔になるよう時間調整なども行ったりといったことが可能であった。 各停留所には接近表示ではなく、具体的な到着時刻がデジタル表示されたのも斬新であった。 各車両のダイヤや行き先、さらには各運転手の勤務時間などもすべてコンピューター管理するもので、当時としては画期的なシステムであった。 車両も、都営バスと同様に専用車両が用意され、上部引き違い窓やハイバックシート、エアサスに扁平タイヤを装備した三菱ふそうエアロスター(P-MP618K)が用意された。 数々の新機軸を盛り込んだ東急バス新交通システムだったが、システムの老朽化により1998年に廃止、導入コストが非常に高価であったことから、以降は他の路線でも採用されている、より廉価な無線を使った接近表示システムへ変更された。 今では、スマホなどを通じて位置情報などをチェックできるようになるなど、時代の流れと共にどんどん進化を続けているが、黎明期の様々な挑戦や試行錯誤を経て、今のシステムが構築されたと言えよう。