フィギュアスケート全日本で鍵山優真が新時代の扉を開く「おもしろい試合になる」
【ガッツポーズができるように】 12月19日、大阪。フィギュアスケートの全日本選手権男子シングルは、群雄割拠の様相を呈している。各選手の実力は伯仲だ。 <写真>鍵山優真、坂本花織、りくりゅう...2024NHK杯フォトギャラリー もっとも、鍵山優真(21歳/オリエンタルバイオ・中京大学)は頭ひとつ抜けた存在と言えるだろう。昨年の全日本選手権で鍵山は、史上稀に見る激戦の末に、宇野昌磨に次ぐ準優勝だった。 「今日は練習してみて、初日から思った以上に動けているなっていういい感触です。明日(のショートプログラム)で、このままの気持ちを持っていけるように!」 鍵山が、新時代の扉を開く。 開幕前日練習で鍵山は氷の感触を確かめるように、丁寧に滑っていた。小さな体を大きく弾ませ、柔らかくしならせ、小さな"爆発"を繰り返すことによってダイナミズムをつくり出す。トーループ、サルコウ、アクセルなどジャンプを次々に成功。フリップは、最初こそ氷の感覚が合わなかったようだが、すぐにアジャストさせた。
曲かけ練習は、フリーの『Ameksa』を選択。スパニッシュギターが叙情的に弦をつまびく音を拾いながら、軽やかにステップを踏む。ジャンプを跳ばずに、コースと振り付けを丹念に確認していた。GPシリーズのフィンランド大会でフリーは苦戦し、2位だったGPファイナルも本人は満足できなかったようだが......。 「ファイナル後、あまり時間はなかったですけど、ジャンプ、スピン、ステップと課題を見つめ直して、調整できたかなって。全日本でその成果を発揮できたらと思っています」 鍵山はまっすぐな目で語っている。当然ながら、彼を囲む記者の数は際立って多かった。 「自分自身、僕ひとりでエースを名乗るほどでないと思っています。今の日本はすごく選手の層が厚い。僕だけじゃなくて、一緒に滑っているメンバーも、みんな優勝できる技術を持っていて。昨年の(全日本の)ようなおもしろい試合になるんじゃないかって思いますね。そうさせるためにも、まずは自分に集中し、自分自身に勝てるように。もちろん優勝という気持ちは強いし、僕も負けていられないなって」 そう語る鍵山は結果以上に、プロセスを重視しているようだった。 「練習どおりの気持ちで、落ち着いて滑ることができるか。技術的にはいい感じでできているので、緊張している試合でも練習でやっている技術を出せるか。そこが大事ですね。自分の優先順位としては、結果よりもやるべきことに集中して。ショートで落ち着いて自分の演技をして、フリーではガッツポーズができるように」