トップダウンの職場ほど「イノベーションが生まれにくい」根拠
聴く力を育てることは人間力を育てること
ビジネスのシーンを思い浮かべると、スピードが決定的に重要な場面が多いので、聴くべきところでちゃんと聴くことは難しい面があります。 子育てとは待つことだという言葉もあるように、相手を信じて待つことが大切だと頭では理解していても、忍耐力が伴わないときや、こちらのコンディションが整っていないときにはなかなかちゃんと聴くことができなくなってしまいます。 また、人は話しているときに快感を得やすい傾向があるように思います。自分のことを話しているときには、快楽につながるホルモンが分泌されているとも言われています。 聴くことは、相手に話す場を与えることにより自分にも場からのフィードバックが得られていくような、相互の関係性における利他のマインドが求められることにも思えます。 これからはますます、出世や達成などの過去重要だったストーリーで動かされる割合が減り、個々の個性に根差した動機付けが求められるようになっていきます。個人の理解の解像度を上げるために、聴くことが必要となるシーンが増えていくでしょう。 今まで、聴くことはその才能のある人や直接それを職業にしている人が行っていたかもしれません。ただ、これからの社会では特にチームを率いる立場の人やチームをドライブできるメンバーに求められる必須の能力となります。 聴くことを直接扱い、またここまで論理的にわかりやすい本は珍しいです。聴く力に自信がない方や、今後より聴く力が求められる人に、おすすめしたい一冊です。
大賀康史(フライヤーCEO)