「一杯のかけそば」がたった200円 東京発「人情立ち食いそば」実食報告
「民間の調査会社の発表によれば、11月に値上げされた飲食料品は、282品目。チョコレートやふりかけから正月用品までさまざまです。東京23区の新築マンションの平均価格も1億円超えが当たり前と、庶民は生活するのも難しいのが実情ですよ」(全国紙経済部記者) ■【画像】1972年創業の老舗『信濃路』のかけそば■ 物価高騰に拍車がかかる都内だが、いまだ数百円で蕎麦を堪能できる店が存在するという。 そこで今回は、2店の立ち食いそば店を本サイト記者が実食。その味と安さの秘密を探った。 タワーマンションがそびえ立つ、湾岸エリアの繁華街である豊洲。そこから歩いて20分ほどの江東区・潮見にあるのは、元トラック運転手の店長が営む『立喰そば 大むら』だ。 かけそばは一杯200円ポッキリと、破格で提供している、こちらの店。トッピングも、アジフライが100円、コロッケが50円と、まさに庶民の味方だ。 とはいえ、原材料高騰の影響はあると店長は話す。 「唐揚げと一口カツは50円で提供していましたが、仕入れ額が販売価格を上回ったので、泣く泣く販売をやめました。今後は、かけそばを注文された先着70名にサービスで載せている半ちくわの提供も厳しくなりそうです。値上げするくらいならメニューからなくそうという方針ですね」 それでも低価格を維持できる秘訣は、妻との二人三脚経営にあるそうだ。 「自宅をリフォームして店にしました。過去に出店を家族に猛反対されたこともあって、開店の日まで宣伝はしていません。のれんの文字も手書きですし、仕入れも東陽町の青果店と業務スーパーですませています」(前同)
■山手線の内側にも存在する老舗の激安そば店
都心をグルリと囲む山手線の内側にも激安そば店は存在する。ラブホテルが立ち並ぶ下町、台東区の鶯谷。そこにあるのは1972年創業の老舗『信濃路』だ。そば、うどんの他にも、100近くのメニューがある。 こちらの店は、かけそば一杯300円。色の濃いカツオだしのつゆは酒のシメにもぴったりだ。 「かつては200円で提供していましたが、コロナ明けの2年前にやむをえず値上げに踏み切りました。他にも、5個入り350円で提供しているシュウマイも、1つあたりの原価が32円から43円に上昇と、値段の据え置きは苦しい」(『信濃路』店長=以下同) 2011年に『苦役列車』で芥川賞を受賞した、作家の故・西村賢太氏も、同店に足繁く通ったという。 「カウンターで週3日、独りで飲んでいました。お気に入りは、肉野菜炒め。ビールやウーロンハイと一緒に楽しんでいました」 燃料費や材料費の値上げにめげずに、安さにこだわる理由は常連客への気持ちだと語る。 「社長の“昔からお世話になったお客様へ少しでも安く提供したい”という思いから、なるべく価格を上げないよう努めています」 人情たっぷりな東京の立ち喰いそば。 この価格なら、おなか“いっぱい”食べられそうだ。
ピンズバNEWS編集部