センバツ21世紀枠選考の経過 八戸西、支援学校交流を評価 東播磨は「逆境をプラスに」
21世紀枠特別選考委員による順位付けの評価表などを参考に、まず東日本(北海道、東北、関東・東京、東海、北信越)から行い、評価の高かった八戸西を選出し、西日本(近畿、中国、四国、九州)からは東播磨を選んだ。地区を問わない残り2校は、それまでの評価が高かった知内、三島南、富山北部・水橋、矢上、具志川商の5校に絞った上で比較検討し、具志川商を3校目に決定。残る4校から三島南と富山北部・水橋に絞り、最後の1枠は投票の末、三島南を選んだ。 【写真特集】センバツ切符どこに 運命の選考委員会 ◇三島南は先進的取り組み、V字回復の具志川商も高評価 八戸西は、野球部員が特別支援学校の生徒と一緒にパラリンピック競技でもあるボッチャなどをプレーし、支援学校の生徒が傷んだボールの補修作業などを行ってきた。特別選考委員会では「東京パラリンピックを前に世界的な潮流であるインクルーシブ教育(子どもが障害の有無にかかわらず一緒に学ぶ教育)に取り組んでいる」と高く評価された。 先進的な取り組みでは、三島南も同様だ。日本高校野球連盟などが野球振興などを目的とした「高校野球200年構想」を立ち上げる2年前の2014年から、全国に先駆けて活動を開始。野球交流会などを6年間で31回行い、参加者1133人を数え、野球振興や地域貢献が高く評価された。 東播磨は、新型コロナウイルスの影響で活動が制限される中、「Zoom」や「LINE」などオンラインツールを活用し、技術指導や部員の悩み相談などを行い「逆境をプラスに考える工夫がある」と評価された。また、野球部の活動を題材にした演劇部と放送部が全国優勝を果たし、演劇部の作品は映画化もされるなど校内に好影響を与えたのも好印象だった。 具志川商は5年前には部員不足に陥ったが、企業で働くOBが監督やコーチとして指導するなど地域支援を受け、昨秋初出場した九州大会で勝利するなどV字回復を果たしたことが評価された。 昨秋の明治神宮大会中止で今大会の「神宮大会枠」が21世紀枠に振り分けられた背景には、新型コロナウイルスに苦しむ中、高校球児が部活動に真摯(しんし)に向き合い、創意工夫を重ねて頑張ることが、全国の球児やファンに勇気を与えることにつながるとの考えがある。特色ある4校が選ばれた21回目の21世紀枠。多様性を象徴するセンバツらしい選考になった。【安田光高】 ◇21世紀枠の選考基準 センバツの招待大会としての特性を生かし、高校野球の模範的な姿を実践している学校を以下の基準に沿って選ぶ。 ①秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上)②以下の推薦例のいずれかに当てはまる学校。少数部員、災害など困難な環境の克服▽学業と部活動の両立▽数年間にわたり試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない▽創意工夫した練習で成果を上げている▽部外を含めた活動が他の生徒や地域に好影響を与えている。 ◇21世紀枠の出場校 2001年 安積(福島)宜野座(沖縄) 2002年 鵡川(北海道)松江北(島根) 2003年 柏崎(新潟)隠岐(島根) 2004年 一関一(岩手)八幡浜(愛媛) 2005年 一迫商(宮城)高松(香川) 2006年 真岡工(栃木)金沢桜丘(石川) 2007年 都留(山梨)都城泉ケ丘(宮崎) 2008年 安房(千葉)成章(愛知)華陵(山口) 2009年 利府(宮城)彦根東(滋賀)大分上野丘(大分) 2010年 山形中央(山形)向陽(和歌山)川島(徳島) 2011年 大館鳳鳴(秋田)佐渡(新潟)城南(徳島) 2012年 女満別(北海道)石巻工(宮城)洲本(兵庫) 2013年 遠軽(北海道)いわき海星(福島)益田翔陽(島根)土佐(高知) 2014年 小山台(東京)海南(和歌山)大島(鹿児島) 2015年 豊橋工(愛知)桐蔭(和歌山)松山東(愛媛) 2016年 釜石(岩手)長田(兵庫)小豆島(香川) 2017年 不来方(岩手)多治見(岐阜)中村(高知) 2018年 由利工(秋田)膳所(滋賀)伊万里(佐賀) 2019年 石岡一(茨城)富岡西(徳島)熊本西(熊本) 2020年 帯広農(北海道)磐城(福島)平田(島根) 2021年 八戸西(青森)三島南(静岡)東播磨(兵庫)具志川商(沖縄)