広告会社の役員らが国際ロマンス詐欺救済の法律業務!?名義を貸したとされる弁護士は裁判で謝罪 “着手金ビジネス”と検察側は指摘
弁護士資格のない業者に自らの弁護士名義を貸し、ロマンス詐欺救済をうたう法律業務を行わせた罪に問われている男。初公判で「弁護士全体に対する社会の信頼を毀損してしまった」などと起訴内容を認め、謝罪の言葉を述べました。
起訴状などによりますと、大阪市北区の弁護士・川口正輝被告(38)は、おととし12月から去年7月にかけ、弁護士資格のない広告会社役員・井田徹被告(39)らに自らの弁護士名義を使わせ、国際ロマンス詐欺などの被害救済をうたう法律業務を行わせたとして、弁護士法違反(非弁提携)の罪に問われています。 国際ロマンス詐欺などの被害救済は、現実的には極めて難しいとされています。しかし、大阪弁護士会の調査によりますと、川口被告は自身の顔写真も載ったホームページで、多額の被害金を回収できるとアピール。約1800人の依頼者から総額約9億6000万円の着手金を受け取ったとされていますが、実際は広告業者側が相談に対応していて、着手金の大半が“業務委託料”として広告会社側に流出したとみられています。 9月2日に大阪地裁で開かれた初公判で、黒いスーツ姿で現れた川口被告は落ち着いた様子で「弁護士法に違反した事実については間違いありません」と起訴内容を認めました。さらに、「私が弁護士であるにもかかわらず、依頼者の信頼を裏切ったことは間違いありませんので、大変申し訳ない」としたうえで、「私の行為で弁護士全体に対する社会の信頼を毀損してしまったことに対しても、大変反省しています」などと話し、弁護人も起訴内容について「争いません」と述べました。 一方の検察官は冒頭陳述で、ロマンス詐欺の被害者から着手金を得る手口を“着手金ビジネス”と指摘。「広告会社の役員らから『対応は事務員が全て行うので手間はかからない。報酬として着手金の3割程度を支払う』などと誘われ、繰り返し自分の名義を貸していた。弁護士資格のない事務員に依頼者の電話対応をさせ、被害金の返金ができる可能性が高い旨を伝えていた」としたうえで、「着手金のうち、報酬として1億5500万円あまりを受け取っていた」などと述べました。 大阪弁護士会は川口被告を懲戒請求しているとともに、着手金の弁償が特定の被害者にかたよる事態を防ぐために、川口被告の破産手続開始を大阪地裁に申し立てています。