ギリシャ・アテネでおなじみ「ドルマダキア」…「春の訪れ」告げる家庭料理です
4月の日曜日、ギリシャの首都アテネの住宅街にあるレストラン「ニキフォロス」を訪れると、地元客ですぐに満席になった。ギリシャの中でも美食で知られる地中海の島、南部クレタ島の家庭料理が味わえる人気の店だ。 【写真】パリ五輪の聖火、ギリシャからフランスに
「小さい詰め物」の意
「この店に来たら全員が注文する人気料理」と店主のヤニス・スタブラカイキスさん(43)に薦められたのが、「ドルマダキア」だ。ドルマはトルコ語で「詰め物」、ダキアはギリシャ語で「小さい」を意味する。ブドウの葉で米などの具材を包み、煮込んだ料理で、オスマン帝国時代に、領内に広がったとみられている。
さっぱりした味付けが特徴、サラダ感覚
直径約2センチ、長さ約5センチほどの一口サイズで、口に入れると酸味のあるブドウの葉とレモンの風味が効いたご飯がさわやかに口の中に広がった。トルコやエジプトにもある料理だが、ギリシャではシンプルでさっぱりした味付けが特徴で、サラダ感覚で主に前菜として食べられている。
作り方もシンプルだ。細かく刻んだタマネギとハーブ、トマトなどと米を軽くいためて、ブドウの葉で巻く。それを鍋に敷き詰め、水とオリーブオイルで煮込む。「どの工程にもレモン汁を使うのがおいしさの秘密」と教えてくれた。
特に4~5月が旬で「春の訪れ」を告げる料理だ。新緑の時期に生のブドウの葉を使うため、風味がより新鮮だからだという。それ以外の時期は、春に摘んでレモン汁などに漬けて保存した葉を使うという。
店は25年前、祖母のレシピを基に、両親が始めたという。スタブラカイキスさんは、「経済危機や新型コロナ禍でも支えてくれた常連客たちに、低価格でほっとする家庭料理を提供し続けたい」と語った。
ロールキャベツに近い「ラハノドルマデス」
ドルマダキアに似た料理にキャベツで包んだ「ラハノドルマデス」もある。ドルマダキアより大きく、具材には肉を加えるのが一般的で、日本でも親しまれているロールキャベツに近い。
「国民食」チーズ、1人当たり消費量は日本の10倍
ギリシャは世界で有数のチーズの消費国でもある。1人当たり年間消費量は日本の約10倍の約23キロ・グラムともされ、サラダや揚げ物、パイなど、チーズを使った料理が多い。