16日に独首相信任投票 19年ぶり、否決確実で総選挙へ
【ベルリン時事】ドイツ連邦議会(下院)は16日、ショルツ首相の信任投票を行う。 首相信任投票の実施はシュレーダー政権下の2005年以来19年ぶり。否決されるのは確実な情勢で、議会解散を経て、来年2月に総選挙が実施される運びだ。 ショルツ氏は11日、連邦議会に自らの信任投票を求める動議を提出。記者団に対して、「将来の政治の方向を決めるのは有権者だ」と述べ、信任案の否決を受けて即日、シュタインマイヤー大統領に議会解散を提案する考えを表明した。 現政権は21年12月、ショルツ氏の中道左派、社会民主党(SPD)と環境政党の緑の党、産業界寄りの自由民主党(FDP)の3党で発足した。しかし今年11月、経済・財政政策を巡って対立を深めたFDPが離脱。少数与党に転落し、政権運営に行き詰まった。 戦後ドイツは不安定な政治状況がナチスの台頭を招いた反省から、政権が安定しやすい仕組みを採用しており、前倒し総選挙は珍しい。信任投票はこれまでに5度行われ、このうち3回が否決され総選挙に至った。 前回05年に信任投票を行ったSPD出身のシュレーダー首相(当時)は、労働市場改革によって低下した政権に対する支持を、選挙を通じて回復させることを狙い、意図的に否決に持ち込んだ。しかし選挙では中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に敗北した。 現在のSPDの支持率は20%に届かない厳しい情勢。ただ、首位を走るCDU・CSUとの連立で与党に残る可能性がある。