タクシーが駐停車違反! お客さんの指示でも反則金は運転手が払う? ~弁護士に訊いてみた~
タクシーの急な車線変更! 道交法違反になる?
相談者:ところで、お客さんを乗せるため、急に車線を変えたり、減速したりするタクシーを見かけることもあります。これらの行為についても法律で規制できないのでしょうか。 山崎弁護士:タクシーといえども法律上の例外ではないので、他の車両に迷惑を掛けるような急ブレーキや進路変更等については、道交法違反となります(道交法第24条、26条の2)。 相談者:違反になるのですね! タクシーの運転手が交通ルールを知らないわけはありませんよね。 山崎弁護士:そうですね。タクシーを運転するには第二種運転免許を取得しなければなりません。二種免許取得のための試験は路上でも行われ、道交法違反の運転をしていないかどうかが厳しくチェックされます。その中で技能検定員から、タクシーを停車させるように指示を受けることがあり、そこで駐停車禁止場所に停車させてしまうと不合格になってしまうという話を聞いたことがあります。 相談者:ちょっと引っ掛けみたいですが、実際にも起こり得ることですね。 山崎弁護士:はい。従って、タクシーの運転手もお客さんを乗せるために交差点で停車したり、急に車線を変えたりすることが、違法であることは当然分かっているはずです。とはいえ、タクシーの運転手の立場からすれば、「交差点でタクシーを呼び止めるお客さんも多いし、交差点内で降ろして欲しいと要望される場合もあるので、厳密に交通ルールを守っていたら仕事にならない」という側面もあるでしょう。道交法違反であることを知りつつ、営業上、やむを得ずそうしているというのが実状ではないでしょうか。
タクシー利用者も交差点で停車を求めないように注意
相談者:タクシーもサービス業ですから、運転手さんも大変ですよね。 山崎弁護士:はい。ただ、同情ばかりもしていられません。急な進路変更をしたり、交差点内で車両を停止させたりした場合、当該車両を避けようとして、後続車両が交通事故を起こしてしまうことも有り得ます。 相談者:交差点は特に危険が多そうですね。 山崎弁護士:はい。後続車両が歩行者や他の車両に衝突してしまったり、停止した当該車両が死角となって、車両と歩行者が接触する事故が発生したりする危険が高まります。交差点内で停車することは、交通事故を誘発する原因の1つとなりかねない危険な行為であると、タクシーの運転手だけでなく、タクシーを利用する側のお客さんも理解する必要があると思います。 相談者:確かに、タクシーの運転手を一方的に責めるだけでは問題は解決しないですね。タクシーを利用する側のお客さんも、交差点内でタクシーを停めて乗り降りすることがないよう、気を付けることが大事ですね。 山崎弁護士:はい。タクシーの運転手が道交法を遵守するのはもちろんですが、利用者も協力して、皆で交通事故による被害を防ぐという意識を持ちたいですね。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (公財)日弁連交通事故相談センター東京支部では、電話による交通事故無料法律相談を実施しています。 TEL:03-3581-1770 月曜日~金曜日(祝日を除く)10:00~12:30/13:00~15:30 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
文= 弁護士・山崎勇人