勝つために変えるべきもの。本拠地が移転しても変わらないもの。(B3リーグ・横浜エクセレンス 西山達哉 / 増子匠)
B2昇格のカギを握るディフェンスマインド
選手やコーチの入れ替えが激しいB3リーグにあり、横浜EXも7人が新加入。新指揮官として迎えた河合竜児ヘッドコーチは、開幕へ向けて着手してきたのがディフェンスのマインドセットである。自らの経験を踏まえ、「一昔前まではオフェンシブなチームがレギュラーシーズンを勝つが、プレーオフを勝つのはディフェンシブなチーム。シーズンを通して安定して勝つためには、やっぱりディフェンシブなチームを作らなければならない」。B1では当然のようにディフェンスの強度を高く保たなければならないが、下部リーグになればなるほどオフェンシブになりがちである。世界トップレベルのコーチがBリーグにやって来るようになり、あえてアシスタントコーチとなって経験や研鑽を積んできた河合ヘッドコーチが、クラブの目標を達成するためにもディフェンスの重要性を説いてきた。 西山(172cm)や大橋大空(165cm)ら4人いる175cm以下の選手に対し、「一番地面に近い選手たちだからこそ、ルーズボールを拾うことが仕事である。特にキャプテンの大橋には先週の開幕戦(湘南ユナイテッドBCに64-70)で負けたあとに、ポイントガードだからこそ背中で見せれば、それにみんながついていくから」とさらなる激しさを求めた。翌2戦目は見違えるようなディフェンスで初勝利を飾った。ベンチスタートの平良彰吾(170cm)も同様の強度でディフェンスファーストを徹底させる。ホーム開幕戦ではガード陣だけではなく、外国籍選手が床に身を投げ出し、コートサイドで声援を送るファンをクッションにしながら、ルーズボールを追いかけた。その姿に河合ヘッドコーチも目を細める。 「オフェンシブな印象を持たれるチームであり、TB(トレイ・ボイドIII)もオフェンスですごく目立つ選手だが、だいぶディフェンスマインドが芽生えてきた」 昨シーズン途中で去った「ペップの財産もある」と河合ヘッドコーチは続け、ジョゼップ・クラロス・カナルス元ヘッドコーチが蒔いた種を引き継ぎ、芽生えさせた。湘南に勝利した2戦目以降は、いずれも59失点に抑えるディフェンスで2連勝。勝って反省することが、選手たちの自信につながっている。