セイコーエプソンが国内製造業最速の「全世界100%再エネ化」、どう実現したか
■フィリピンは火山の地熱、インドネシアはヤシ殻を活用
――他の地域については、どのように再エネ化を進めたのでしょうか。 アジア地域については、大規模な生産拠点のあるフィリピンとインドネシアから着手しました。フィリピンについては工場屋根に設置したメガソーラーによる自社発電に、地熱と水力を組み合わせました。 フィリピンは火山地帯のため、地熱が豊富にあります。こうして国や地域ごとの特性を活かすことが地域の再エネ拡大に貢献し、エネルギーの自給率向上や雇用創出につながります。地域で創ったエネルギーを地域で使う「地産地消」は、もっとも重視した原則です。 インドネシアでは、パーム油を生成する際に廃棄物として出るヤシ殻(PKS)を燃料とするバイオマス発電を使用しています。セイコーエプソンの現地法人が事業化に向けてインドネシアの電力会社を支援し、バイオマス燃料の活用に貢献しました。 バイオマスの活用にあたっては環境アセスメントを徹底した上で、再エネ100%を目指す国際的なイニシアティブである「RE100」の審査をクリアしました。再エネであれば何でも良いわけでなく、地域の環境や人権との共生が大前提でなければなりません。 取り組みを始めた2017年から20年頃は再エネに対する社会の認知度が現在ほど高くなく、電力会社と協議を重ねながら手探りで取り組みを進めたというのが実情でした。 ※後編では、日本国内ではどのように再エネ100%を達成したか、「次のステップ」について紹介しています。