リレー侍、悲願『金』布陣 「カミソリスタート」坂井隆一郎が初代表入り「ずっと夢だった…挑戦者として挑む」/陸上
日本陸連は4日、パリ五輪の日本代表を発表した。男子100メートルは、坂井隆一郎(26)=大阪ガス=が初の代表入り。6月30日閉幕の日本選手権で2連覇を達成し、五輪ランキングで逆転した。「カミソリスタート」が持ち味で、サニブラウン・ハキーム(25)=東レ=や個人での代表入りを逃した柳田大輝(20)=東洋大=らとともに、男子400メートルリレーの1走としても、大きな期待が集まる。 男子100メートルの日本選手権覇者が、逆転で五輪代表入りをつかみ取った。初の大舞台へ、坂井が決意を示した。 「オリンピックは自分が目指す最大の舞台で、ずっと夢だったので、出場が決まって大変うれしく思っています。初のオリンピックとなるので気負うものはなく、挑戦者として挑むつもりです」 6月30日の日本選手権決勝は悪天候の中、10秒13で優勝。わずか100分の1秒差でライバルたちに競り勝ち、2連覇を達成した。 2大会ぶりのメダル獲得を狙う400メートルリレーでも代表の座をつかんだ。リレーメンバーの選考で日本選手権前は優先順位が低かった26歳だが、100メートル優勝で大逆転の代表入りとなった。 大阪・豊中市出身。2008年北京五輪の男子100メートル決勝で、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が9秒69の世界記録(当時)を樹立したレースに心を揺さぶられた。中学1年から本格的に陸上を始めた。 低く、切れ味鋭い飛び出しから「カミソリスタート」と呼ばれるスタートが持ち味。「リレー侍」の1走としても、大きな期待が寄せられている。坂井が不在だった5月の世界リレーの予選では、普段ならば4走を任されることが多いサニブラウンが1走を務めた。日本も他国もメンバーがそろっていない中だったが、予選は米国に次ぐ2番手。坂井は、「パリは自分が」と心に刻み、念願の切符をつかんだ。 メンバーには、エースのサニブラウン、日本選手権2位の東田旺洋(関彰商事)、同3位の柳田大輝(東洋大)、銀メダルを獲得した16年リオデジャネイロ五輪で3走を務めた桐生祥秀(日本生命)らが名を連ねた。本番までのコンディションも含めて、最終的に走順が決まる。 21年東京五輪決勝で「リレー侍」は1走から2走へのバトンミスで失格となった。「リレーはこれまで世界選手権で2回走っていますが、いまだメダルには届いていません。周りのメンバーも心強いので金メダルを目指して頑張ります」と坂井。「カミソリスタート」で、日本を頂点まで導く。(高橋朝香)