【インタビュー】阪神・岩崎優 自分ができることに集中「このリリーフ陣であればもっとできると思う。優勝で終わりではなく、もっと上を目指していかなければ」
普通に戦う雰囲気
自分の仕事を淡々とこなすだけ、と腕を振り続けた2023年だった
何があっても動じない。無表情でひょうひょうと9回のマウンドに上がり、試合を締める。今季は途中からクローザーとなり、快進撃のチームを支えた。生え抜きリリーフ陣では岩貞祐太とともに最年長。自分のことだけではなく、リリーフ陣全体のこれからを考えて行動する左腕。彼がいるからこそ、日本一も狙えるし、来年以降も強力なブルペンが構成されるのだ。 取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也、BBM リリーフ陣の中では、一番の修羅場をくぐってきた男だ。だからこそ若い投手たちにその経験を伝えてきた。自分が若手のときに、同じように伝えられていたからこそ引き継ぐ。ある意味伝統的なことが、今年は「優勝」として実った。だが、それだけではないリリーフ陣のこれからに手応えを感じている。 ──9月に入り一気にリーグ優勝まで駆け抜けたというイメージでした。 岩崎 イメージ的には、チーム自体は、優勝に向けてという感じではなく、普段どおりの雰囲気で試合をしていたという印象です。 ──優勝直前でも、チーム自体が優勝へのプレッシャーなど感じていないのかな、という雰囲気もありました。 岩崎 そこは(岡田彰布)監督が気持ちを引き締めていたのかもしれません。監督の言葉の中に「優勝」という語句は出てきませんでしたし、マジックが減っていっても「まだまだ」ということをおっしゃっていました。そういうのがチームに影響していたのかなと思います。 ──そういう監督の雰囲気は感じ取っていましたか。 岩崎 監督の雰囲気というよりは、僕たちにはリーグ優勝の経験がなかったので、そこが実感としてなかなか感じられなかったですね……マジック1になって初めて「優勝するのかな」と思ったくらいです(笑)。 ──2年前は独走しながら最後にヤクルトに優勝をさらわれました。昨年は開幕9連敗からの苦しいスタートでした。その苦い経験は、今季に生かされていたのでしょうか。 岩崎 どうでしょうね……僕自身は気にしていなかった、という表現でいいのかな。優勝できなかったことも、気にしていませんでした。昨年のことも、そこまでは気にせずにいました。そこは1年、1シーズンごとだと思ってやってきていますので。 ──チーム全体を見たときに今までと何か違うな、と感じたことなどありますか。 岩崎 今まで以上に普通に戦っているという印象ですね。野手陣も投手陣も、何か余計なことを考えずに試合に臨んでいるという感じはありました。それは去年とはまた違う感覚です。今年は・・・
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週刊ベースボール