近所で偶然見かけたグラナダFCジュニアの練習は全に大人のそれだ
バルセロナのCBパウ・クバルシが17歳でフル代表デビューした。
CLではナポリを退ける原動力となり、第2レグのMVPに選ばれた。DFラインからウインガーへ通して一発で崩せる正確なロングパスはいかにもバルセロナ出身だが、それ以上に決して上背がある方ではない(184cm)のに空中戦で大型CFを完封する当たりの強さと駆け引きが素晴らしい。DFは守備力が第一でパス技術は二の次。3月はリーガで出場3試合に無失点、217本のパスを通し(成功率91.95%)、3月のU-23でのMVPにも選ばれていた。このままレギュラーに定着するだろう。
フル代表でもクラブでもレギュラーになったと言っていいラミン・ヤマルは16歳。日本だとクバルシが高校3年生、ヤマルが同2年生。なぜこの年でいきなり世界のトップレベルで遜色なくやれるのか?
タレント? もちろん、それが第一の理由だ。
第二の理由はフィジカル。体格ではない。欧州の中では体格では見劣りするスペイン人なのだが、大柄でなく細身でも大人顔負けの馬力を持つ十代が、ここ5年くらい目立つようになった。当たり負けせず、走り負けしない。スペインの若手=華奢なテクニシャン、というイメージは急速に変わりつつある。これと関連して厳罰化でプレー自体がクリーンになったことも若手の背を押ししている。
そして第三の理由が、子供の時から大人のサッカーをしていること。
日本のように小学校のサッカー、中学校のサッカー、高校のサッカーというのはスペインにはない。小学校以下は7人制サッカーでオフサイドルールがないなどのフォーマットの違いはある。だが、技術、戦術、強度、プレースタイルにおいて、大人と子供の違いはない。もちろん結果的に子供のレベルは低くなるが、求められることが大人と子供で異なるわけではない。
たとえば、小学生は技術中心で戦術は中学生から、なんてやり方はしない。なぜなら、戦術のない技術=使いどころを知らない技術は曲芸に過ぎないし、第一に戦術がなければ試合が成立しない。試合で役に立たない技術、チームを勝たさない技術には意味がない。