無料で相談を受けるのは損なのか?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■「回答」で解決できるのは「有料」
無料相談であれば経験を積めるとはいえ、仕事が増えてくれば永久に無料相談を行うことには限界があります。しかしながら、いきなりすべての問い合わせに対し、有料相談に踏み切る勇気が出ないのも事実です。そこで、段階的に次の方法を採ることで移行がスムーズになります。 その方法とは、「相談の先に業務の提案ができるもの」に関しては無料相談を提案し、「相談の先に業務の提案ができないもの」には有料相談を提示するというものです。 ここで、具体例を挙げましょう。たとえば、実際にこれは私が過去に受けた相談ですが、「ある事情で書いてしまった念書の効果について教えてほしい」という相談がありました。これは事情を聞いたところ、念書の効果について回答するのみに留まることがわかったので相談料は有料としました。こういった相談は無料で答えてもなかなか報酬に結びつかないのです。 もうひとつ逆の例を挙げます。別の相談で「悪質商法に騙されて商品を買ってしまった。解約したい」というものは、状況を聞くと内容証明郵便の送達でクーリングオフができるため、「内容証明郵便の作成」という業務の提案ができます。そのため相談は無料で受けました。内容証明郵便を送ったほうがよいという私の提案を受けてくださったお客様からは結果として書類作成の依頼を受けることになり、報酬を得ることができました。 このように、相談の先に業務の提案ができるかどうかの違いで無料相談と有料相談を使い分けることがひとつの考え方です。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。