「ライバルを超えたい」156キロ右腕・岩井俊介(ソフトバンク2位) 成長の原動力は負けん気の強さと探究心の強さ<年末特別企画・ドラフト指名5投手の成長物語④>
今年のドラフト会議で、ソフトバンク2位指名を受けた名城大・岩井 俊介投手(京都翔英)。最速156キロの速球、切れ味鋭いスライダー、カーブ、スラーブを持ち味とする投手で、大学日本代表にも選ばれている。 高校時代は無名の存在で、公式戦での活躍もなかった岩井がなぜここまでの投手になれたのか。そこには負けん気の強さと研究心の高さがあった。 【動画】名城大・岩井俊介の必殺・スラーブは必見!最速156の剛速球も凄まじい!
高校、大学でも刺激になるライバルがいた
成長のきっかけには高校、大学ともに岩井を震え立たせるライバルの存在があった。 岩井は愛知刈谷ボーイズ出身。当時から強肩で、中学1年にして、最速127キロを誇るほどだった。ボーイズの監督の縁があって、岩井は愛知を出て京都翔英に進むことになった。 しかし公式戦ではほとんど登板がなかった。当時のエースは遠藤 慎也投手(亜細亜大)だった。遠藤は140キロ後半の速球を投げ、試合も作れるプロ注目右腕。岩井もそのころから最速146キロを投げており「体作りはかなり自信を持ってやっていました」と語るが、エースの座を勝ち取ることはできなかった。 その悔しさが大学野球を続ける原動力になった。 「めちゃくちゃ悔しかったですね。『大学野球で主戦投手になって抜かしたろう』と思っていました。まだその頃はプロに行きたいと思っていても実力はなかったので、行きたいなぁと憧れ程度でした」 大学は地元に戻りたいという思いから、名城大へ進学した。しかし入学すると同学年の投手が大きなライバルとして立ちはだかる。それが、DeNA2位指名の松本 凌人投手(神戸国際大付)だった。松本は高校時代、140キロ中盤の速球を投げる全国区の右サイドとして注目されていたが、1年生から活躍を始める。 「驚きました。1年生からエースみたいな活躍で、凄いなと思いました。でもこの投手を超えないとプロにいけないなと思いました。」 最初は実力差だけではなく、気持ちの強さも違うと感じていた。 「松本は本当に気持ちが強い投手で、そこはすごいなとずっと思っていました。負けられない気持ちと尊敬の気持ちがありましたね」 そんな岩井もシート打撃で力いっぱいの140キロ台の速球を投げ込んで、首脳陣のアピールに成功。ストレートの球速も150キロを超えるようになった。体作りにも励んだ。量や質にもこだわり、そしてトレーニングでも短ダッシュ、メディシンボール投げ、体幹トレーニングなどを、欠かさず行った結果、2年夏には150キロに到達した。 「短ダッシュ、メディシンボール投げは瞬発力が上がりますし、球速アップに必要なトレーニングだなと思っています。自分にとって名城大でのトレーニングは合っていたなと感じます。2年夏の強化練習で151キロを出したのですが、大台に乗ったと実感しました」 下級生から公式戦登板を経験し、2年春には大学選手権初出場。2回戦の佛教大戦に先発し、3回2失点の力投。その後も3年春の大学選手権も近大工学部戦で5回無失点の好投、3年秋の明治神宮大会でも上武大相手に5回無失点と着実に階段を登っていた。 大舞台を経験して学んだことは、メンタルが強くなったこと。 「神宮の大舞台で経験を重ねて、良い結果を出したことで自信につながった。メンタルが強くなったと思っています」 また元中日・山内 壮馬コーチのアドバイスも大きかった。 「フラットに接してくれる方ですし、選手と同じ目線で指導してくれるので、とてもやりやすいコーチでした。自分にとって大きなアドバイスだったのは『四球を出してもいいから、思い切り腕を振ってこい』といってくれたこと。下級生から全力投球ができたのは(山内)壮馬さんのおかげです」