マカオ政府、居民への現金支給を18年連続実施…2025年は1人あたり約19万円の見込み
世界最大規模のカジノ売上を誇る都市として知られるマカオ。カジノ税という潤沢な財源を抱え、莫大な財政準備を誇るマカオ特別行政区政府は、インフレ対策や富の還元を理由に2008年から居民(マカオ居民IDカード保有者)に対する現金支給を毎年実施している。 現金支給の実施はコロナ禍で財政赤字となった2020~2023年(会計年度)でも新型コロナ経済支援措置として維持された。 マカオ居民の間では、来年(2025年)も現金支給の実施が継続されるかどうかに注目が集まっていたが、マカオ政府が11月14日にマカオ立法会へ提出した来年度(2025年度)予算案に盛り込まれたことで、18年連続の実施が確定的となり、次の焦点は支給額に移っていた。 マカオ特別行政区行政長官の賀一誠(ホー・ヤッシン)氏は11月19日、第5代行政長官として任期中最後となる立法会全体会議に臨み、今年度(2024年度)の政府施政運営の総括及び来年度(2025年度)の予算案の紹介を行った。 賀氏によれば、来年度の現金支給の支給額については、永久性居民(永久居留権)が1万パタカ(日本円換算:約19.3万円)、非永久性居民(臨時居留権)が6000パタカ(約11.6万円)を見込んでいるとのこと。 支給額について、初回にあたる2008年は5000パタカ(約9.7万円)だったが、以降は段階的に増額され、2019年以降は据え置きとなっている。なお、マカオ永久性居民の場合、2025年を含む18年間の累計支給額は15.4万パタカ(約298万円)に上る。 現金支給のほか、これまで継続的に実施してきた所得税の30%減税を含む各種減税措置や医療クーポンの支給、有資格者の個人年金積立口座への7000パタカ(約13.5万円)注入、家庭用水道・電気代の補助といった居民に利益をもたらす多くの施策を維持する方針であることも明らかにした。 なお、賀氏は立法会全体会議終了後の会見の中で現金支給額の調整について問われた際、来年度予算案の内容については、来月(12月)20日に就任する次期(第6代)行政長官、岑浩輝(サン・ホウファイ)氏率いるチームから文書で同意を得たとした上、次の政府はその施政方針に基づき予算案の修正をでき、現金支給の支給額の増額の有無などは、次の政府が決定することになると回答した。