日曜の歩行者、最大19倍 富山市中心部「トランジットモール」 コンパクトシティの象徴
●社会実験7年「官民連携の成功例」、路面電車利用も増加 富山市中心部の大手モールを歩行者と路面電車のみが通行できる「トランジットモール」の2017年度から昨年度までの社会実験で、歩行者通行量が通常の日曜と比較し最大19倍、平均8倍に増えたことが13日、分かった。富山市は官民連携のまちづくりの成功例としている。今年度から富山新聞社が事務局となり、民間主導となった取り組みについて、市はコンパクトシティ政策のシンボルとして全国に発信する。 ●富山新聞社が今年度から事務局 社会実験は昨年度までの日曜に計19回行われた。ヨーロッパの街並みのように路面電車の軌道沿いにマルシェが並び、多くの人が行き交い、にぎわう姿を目指し、石畳の車道や歩道に出店テナントを配置し、ゆっくりと飲食できるテーブルや椅子を設置。音楽ライブも開催してきた。 開催時の大手モールの歩行者は1万~1万5千人超に上る。市は大手モールを含め中心市街地で定期的に歩行者通行量調査を行っており、それぞれの開催日と近い時期の調査結果を比較したところ、8倍に増加していた。 ●路面電車利用も増加 大手モールにある路面電車の停留場「国際会議場前」「大手モール」の利用者は通常の日曜と比べ平均2倍、最大5倍に増加し、公共交通の利用促進につながった。飲食や雑貨などの出店テナントは実験開始当初の約30店から近年は約60店に倍増した。 通行量の増加割合が最大だったのは20年9月で、周辺でほかのイベントが行われ、新型コロナの影響で通常時の歩行者が少なかったことが要因とみられる。 実験は市が事務局となり、沿線の民間事業者などで構成する「大手モール周辺賑わい創出実行委員会」が実施、今年3月に解散した。4月に民間主導の組織「富山トランジットモール実行委員会」が新たに設立され、5月26日に新体制で初のイベントを行った。 市は委員会の一員として、道路占用手続きや歩行者の安全確保に必要なバリケードの設置、交通整理員の配置などを担っている。 13日の市議会本会議で深山隆活力都市創造部長は「市民や民間事業者が主役のまちづくりをサポートしたい」と述べ、認知度の向上に力を入れる考えを示した。 ●次回は9月29日 トランジットモールは年4回の定期開催で、今年度はこのあと、9月29日、11月24日、来年3月23日に開かれる。