隆の勝、大の里破り1敗キープ 〝たたき上げ〟の30歳、両大関と優勝争いも「実感なし」
○隆の勝(押し出し)●大の里(大相撲九州場所11日目=20日) 隆の勝は立ち合いで左に動き、すかさず右のど輪を繰り出した。大の里の左足が浮き上がり、顔が天井を向く。先手を取って大関の懐に飛び込むと、勢いを止めずそのまま押し出した。 「声援が大きかったし、より気合が入った。立ち合いはとっさですね。右を差されて一気に持っていかれるのが嫌だったので、あの右だけは封じようと」 互いの体に角度が付いて、右腕を伸ばせる空間が生まれたのが大きかった。 日体大で2年連続アマチュア横綱となり、幕下10枚目格付け出しでデビューした大の里に対し、隆の勝は中学卒業後に角界入りし、序ノ口から番付を上げてきた〝たたき上げ〟。幕内在位32場所となった30歳は、学生出身力士について「自分は16歳で入って稽古しかやってない生活で来たので。別に思うことはない」。ただ、若い頃は違った感情があったという。「先に上がっていくので、悔しい思いはしました」。そうやって築いてきた土台の上に今の活躍はある。 2敗がいなくなり、優勝は同じ1敗で並ぶ琴桜、豊昇龍の両大関との争いに絞られてきた。「感覚はないですね。実感もない」。柔和な笑顔に、まだ硬さは見られない。(宝田将志)