茨城県庁=水戸市笠原町

緊急性のない救急搬送患者から「選定療養費」を徴収する茨城県主導の取り組みを巡り、県は18日、緊急性の有無の目安となる指針を作成し、内容を公表した。12月2日に運用を開始する。丸山慧保健医療部長は「救急車の有料化」ではないと強調した上で、「重症の方のために救急車や救急医療の現場をきっちり確保し、県民の命を守っていく」と趣旨への理解を求めた。 記者会見で、丸山部長は救急搬送件数の過去最高更新や医師の労働時間上限規制を挙げ、「医療、救急現場は一層逼迫(ひっぱく)してきている」と指摘。年間で最も救急要請が増える12月に間に合うよう、取り組みの運用を始める必要性を示した。 一方で、命に関わる緊急時は迷わず救急車を呼んでほしいとし「迷ったら救急電話相談を活用していただきたい」と呼びかけた。 県によると、県内の昨年1年間の救急搬送件数は過去最多の約14万3千件に上った。うち6割以上が一般病床数200床以上の大病院に集中し、約半数は軽症患者が占める。今回は大病院22病院が参加する。 指針では、軽度の切り傷や擦り傷は「明らかに緊急性が認められない」と記述。打撲など計10症状は、単独症状の場合「基本的に認められない」とし、評価が難しいケースは認めても問題ないとした。