二十歳を迎えた鈴木福 呼ばれ方は「『福さん』が増えました」 “子役のイメージ”を「超えたい」
公私のことを何でも相談できるオープンな家庭
意外と言うか、やはりと言うか、反抗期はなかったという。「全くなかったと言うとちょっと違うかもしれませんが、筋が通らずにイライラを親にぶつけるようなことはなかったです。自分が納得しなかった時に、母に対してちょっと当たるみたいなことはありましたが、僕がいわゆる反抗みたいなことをすれば父が許さなかったと思います」。公私のことを何でも相談できるオープンな家庭で、深い絆で結ばれている。 中学生の頃から父に言われてきたことがある。それは人生観にも深くつながっている。「遊んだり楽しんだりする時間を作るために今頑張れ、ということです。『大事なのは今だけじゃない。30歳、40歳になってある程度自分でスケジュールを動かせるようになって、がむしゃらにやらなくてもお仕事をもらえる余裕が出てきた時、その場所に自分が立てた時に楽しめるように、そうなれるように今頑張れ』。このことをずっと言われてきました。ただ、今頑張り過ぎて、潰れてしまったら意味がないと思います。父は、学校も含めて今大事にしなきゃいけない時間を持つことも必要だということも教えてくれています。未来のために今があるし、今があるからその先がある。そう思いながらすべてのことに取り組んでいます」。真剣なまなざしで語る。 「一番頼れる存在。何かあったら相談する相手。今までも、これからも、お世話になるつもりです」。両親への感謝の思いにあふれている。 子役時代、国民的な大ブームを巻き起こした。子役出身の俳優・芦田愛菜と歌って踊った『マルモのおきて』のドラマ主題歌『マル・マル・モリ・モリ!』は大ヒットを記録し、勢いに乗ってNHK紅白歌合戦出場を果たした。 「あれがあったから今があると思っています。当時のどんな音楽ヒットチャートを見返しても、『マル・マル・モリ・モリ!』が上位に入っています。自分が思っている以上に、皆さんに見ていただいて、踊っていただいたのかなと。今も共演者の方々が『小学校や中学校の時に踊っていたよ』と言ってくださることが多く、すごかったんだなと実感します」 一方で、これまでに何度も「福君と言えば『マル・マル・モリ・モリ!』だよね」「あの小さかった福君が大人になったんだね」と言われてきた。子どもの頃のイメージありきで語られることは、子役出身者の宿命なのかもしれない。実際にどう捉えているのか。 「あの時の自分があって、今の自分があります。確かに子役のイメージが強いと言われることも多いです。そうした中で、今の僕の顔を見て『鈴木福』と分かってもらえるということは、今の僕のことも知っていただいているわけですよね。逆に言えば、その強いイメージというものを超えていかなきゃいけない。超えたい。そんな思いを感じることもあります」。率直な思いを明かした。 理想像も思い描く。「『この役を』と言っていただける役柄を精いっぱい頑張ること。こういう作品に出たいなということが実現した時に、200パーセントの力で頑張れるだけの準備を常にしておくこと。今の僕を見て応援してくれる人が1人でも増えれば。それに、僕より年下の皆さんは『マル・マル・モリ・モリ!』を知らない方もいっぱいいるわけなので、若い方にも応援されるように頑張りたいです」。