海自護衛艦いなづま座礁「海図確認せず航行原因」 2023年1月の周防大島町沖での事故 運輸安全委が報告書
山口県周防大島町沖で2023年1月、海上自衛隊の護衛艦いなづまが浅瀬に乗り上げて自力航行できなくなった事故で、国土交通省の運輸安全委員会は28日、事故の調査報告書を公表した。当時の艦長らが海図で周辺の地形を確認せずに航行し、水面下の岩に気付かなかったことが事故の原因と指摘した。 【写真】海自護衛艦いなづま岩に接触か、自力航行できず 報告書によると、呉基地(広島県呉市)を母港とするいなづまは当時、定期検査に伴う修理後の性能試験中だった。艦長が試験を早く終わらせて乗員の訓練の時間をつくろうと、当初予定した海域からの変更を指示。艦長と操艦する砲術長は海図で航路上の地形を確認せず約30キロノットで広島湾方面に航行中、浅瀬に乗り上げた。運輸安全委は、航行の安全性について事前に検討していなかったと考えられると指摘した。 事故は23年1月10日午後0時10分ごろ、周防大島町の沖家室島南の沖合で発生。いなづまは浅瀬への座礁で船底やプロペラなどが損傷し、航行できなくなった。けが人はいなかった。 柳井海上保安署は同11月に艦長と砲術長、水雷長の3人を業務上過失往来危険容疑で書類送検し、柳井区検が同12月に3人を略式起訴。柳井簡裁は今年1月、艦長に罰金50万円、砲術長と水雷長にいずれも罰金40万円の略式命令を出した。
中国新聞社