今こそ公選法のアップデートを!ポスターサイズ規定廃止や選挙公報義務化を盛り込んだ提言の狙いを未来政経研究所にインタビュー
編集部: 2項目めは「選挙公報の充実」です。 選挙公報の発行の義務化という強めの規定を出していますが、この意図は? 島田氏: 選挙公報については、国政選挙と都道府県知事の選挙のみで義務化されており、都道府県議会議員選挙、市区町村長・議員選挙は任意制となっており、発行していない自治体もあります。 以前は、新聞折込で全戸配布しているケースも多かったのですが新聞購読部数の減少に伴い、自治体の負担が増えていることも選挙公報を発行しない原因の一つとなっています。 しかし、選挙公報は全ての候補者が同じサイズの枠で情報をまとめており、一覧性が高く、有権者が候補者や政党を比較考量して、投票行動を決める重要な媒体だと考えています。全ての選挙において義務化することが望ましいと思います。
編集部: 3項目と4項目では、衆院選や都知事選で問題になった政見放送とSNSでのコンテンツ収益の問題に踏み込んでいらっしゃいますね。 島田氏: 政見放送の広告換算額は非常に高額であり、供託金の額では賄いきれていません。このため、政見放送については公共の電波を使用するのをやめ、オンラインでの動画配信メディアの活用に切り替えていくべきです。 さらに、有権者の視点に立った際にも、現在の政見放送時間帯は早朝や深夜で多くの人にとって見やすい時間帯ではありません。総務省の調査では2022年以降、全年代で「テレビ(リアルタイム)視聴」より「インターネット利用」が長い傾向が出ています。YouTubeへのアップロードは十分な代替手段となり得ると考えています。 編集部: 選挙期間中のインターネット広告の収益化の無効とは可能なのでしょうか? 島田氏: 実際に、カナダでは2018年末に政治的広告を制限する法律が成立し、オンライン事業者に登録を義務付けました。その結果、グーグル・カナダは、翌年の総選挙の選挙期間中に同国の政党、党首、議会の現職議会議員、議員候補者に触れている広告や上記に関連づけられている社会問題を扱った広告を受け付けないことを発表しました。また、TikTokは政治的なコンテンツをもとに収益化することを制限しており、Government, Politician, and Political Party Account (GPPPA)のカテゴリーに該当する候補者は収益化できない仕組みを採り入れています。 もちろん、選挙活動は制限しないに越したことはありませんが、営利目的で本来健全であるべき選挙空間をかき乱す候補者が増えるようでは、有効な対応策を考えざるを得ません。とりわけ、日本は選挙活動が公的に補助されている国ですので、インターネット選挙を通じた収益を諦めさせることは正当化されるはずだと考えます。 編集部: 今年に続々と発生した選挙を巡る問題に対する解決提案について、よく理解できました。公選法は制定後、70年間もの間根本的には改正されていません。議論は尽きなかったのでは? 島田氏: そうですね、なので一旦は臨時国会の開会を前にめどに提言をまとめようとゴール設定し、早急に取り組むべき施策に絞って提案をまとめました。自由民主党の総裁選や立憲民主党代表選があり、その後には解散総選挙も噂されるなど政治界隈の動きがあわただしい時期ですが、今から次の改善へと繋げていってもらえるよう研究所からも訴えていきたいです。 編集部: 本日はありがとうございました。