神田財務官の後任に三村国際局長、3年ぶり交代-財務省発表
(ブルームバーグ): 財務省は28日、神田真人財務官が退任し、後任に三村淳国際局長を起用する人事を発表した。為替政策を指揮する財務官の交代は3年ぶり。ブラジルのリオデジャネイロで7月25、26日に開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の31日付で発令する。
新たに財務官に就く三村氏は1989年に東京大学法学部を卒業し、旧大蔵省に入省。金融庁や国際決済銀行(BIS)での職務に加え、財務省で国会対応などを担う文書課長の経験も持つ。2021年に国際局長。後任には土谷晃浩次長が就く。
財務官は、主要7カ国(G7)やG20などの国際会議に財務相や日銀総裁と共に出席し、経済・金融分野で国際的な議論に加わる主要メンバーだ。為替介入を含めた通貨政策だけでなく、国際金融にかかる職務全般を所管する事務次官級のポストで、人事については市場の関心も高い。
鈴木俊一財務相は閣議後の記者会見で、三村新財務官について「十分な能力を持っている方だ」とした上で「今は為替の問題が重要だが、これに限らずいろいろな課題に対応していただけると信頼している」と話した。
退任する神田氏は21年7月に財務官に就任し、22年9月には24年ぶりに実施した円買い介入の陣頭指揮を執った。日米金利差を主因に円安の流れに歯止めがかからない中、直近では4月26日-5月29日の期間に9兆7885億円と、月次ベースで過去最大の円買い介入を行った。
こうした為替介入を念頭に、三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「対話という意味でも、戦術・戦略という意味でも上手だった。時間を買うことができていると思うので、その点では評価できる」と話した。
28日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=161円台前半に下落し、1986年12月以来の安値を更新した。財務官人事の報道後、円は160円90銭台に下げ幅を縮める場面があった。約38年ぶり安値圏での推移が続く中、政府・日本銀行による円買い介入への警戒もくすぶっている。