レバノンで通信機が一斉爆発、14人死亡 ポケベル爆発の翌日 太陽光発電機も爆発か
中東レバノン各地で18日、イスラム教シーア派組織ヒズボラのメンバーが携帯していた無線機が一斉に爆発した。複数の報道機関が報じた。レバノン政府によると少なくとも14人が死亡、450人が負傷した。 レバノンでは17日にもヒズボラのメンバーが使用していたポケットベルが一斉に爆発し、少なくとも12人が死亡している。 レバノンの治安筋が米CNNに語ったところによると、18日の爆発は首都ベイルート南郊で最大20件、レバノン南部でさらに最大20件が報告されている。 また、AP通信はレバノン国営通信の情報として、複数の地域で住宅に設置された太陽光発電システムが爆発したと報じた。 ロイター通信が伝えた治安筋の情報によれば、18日に爆発した無線機はヒズボラが約5カ月前に購入したもの。前日に爆発したポケットベルの購入とほぼ同時期だという。 ポケットベルの爆発について米国をはじめ各国当局は、現物がヒズボラに届く前にイスラエルが爆発物を仕掛けたとみていると、米紙ニューヨーク・タイムズが報じている。 CNNによると無線機は、葬儀やデモ行進の群衆整理に携わるメンバーにのみ配布されたもので、ポケットベルほど広く使用されてはいなかったという。 レバノン軍はX(旧ツイッター)への投稿で、医療関係者が速やかに救助活動を行えるよう、現場に集まらないよう民間人に注意を呼びかけた。 ■連日の爆発、イスラエルのしわざか レバノン当局は17日、国内各地と隣国シリアで同時に数百個の通信機器が爆発し、ヒズボラのメンバー1人と少女1人を含む少なくとも12人が死亡したと発表した。爆発は約1時間にわたって続き、負傷者数は約2750人に上った。 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は声明で、レバノンとシリアで爆発が起きたとの報告に「深い憂慮」を表明。「全関係者に最大限の自制を促し、事態の悪化を回避する」よう求めた。 ヒズボラと対立するイスラエルが、一連の爆発に対して責任を認めるかは不明だ。17日の爆発について、イスラエル軍はコメントを出していない。ただ、CNNは関係筋3人の話として、イスラエル当局が米国に対し、17日にレバノンで何らかの作戦を実行すると通告していたと報じている。ヒズボラは「民間人にも被害が及び、死傷者を出した犯罪的攻撃」だとしてイスラエルを非難したと伝えられている。 ヒズボラとイスラエルの対立は昨年10月、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエルに越境攻撃を仕掛けた翌日にヒズボラがレバノン国境沿いでイスラエル軍を攻撃して以来、ここ数カ月で激化している。ヒズボラは、イスラエル軍への攻撃にはパレスチナの人々に「連帯」を示す意図があったと説明している。 戦闘がレバノンに飛び火する懸念が高まる中、米国はイスラエルに紛争を拡大させないよう警告した。これに対しベンヤミン・ネタニヤフのイスラエル首相府は、米国からの支援を「感謝し尊重する」一方で、「自国の安全を守るために必要なこと」を遂行するとの声明を発表していた。
Ty Roush