ブロッコリーの“白い粉”は農薬じゃない?実は新鮮でおいしい証拠!野菜のプロが教えるその正体
煮てよし、焼いてよし、蒸してよしの「ブロッコリー」が、2026年度に「指定野菜」に追加される。 「指定野菜」は、特に消費量が多く、国民の生活で重要な野菜のこと。2024年現在、キャベツやキュウリ、ジャガイモなどの14品目が「指定野菜」となっており、指定野菜の追加は約50年ぶりとなる。 そんな「今、来ている」野菜のブロッコリーだが、スーパーで選ぶときに「表面がうっすら白く、粉っぽくなっているものがある」と気付いたことはないだろうか。 【画像】「おいしい証拠」のブルーム、見たことある? この白く粉っぽい“何か”は、触るとすぐに取れるが、流水で洗ってみると水を弾く。そんな様子から「もしかして農薬?」と思っている人もいるのではないだろうか。しかし、それは誤解なのだ。 この“粉”の正体について、園芸植物やガーデニング用品の輸入・販売などを行っている株式会社国華園が公式X(@KOKKAEN_PR)で説明している。 たまに農薬として目の敵にされる、野菜や果物についている白い粉のようなもの。 これはブルームといって、植物自身が病気や乾燥から自分を守るために分泌している天然物質です。写真のように指で触ると簡単に取れてしまいます。 むしろブルームがしっかりついてるものは新鮮なのですよ~ “白い粉”の正体は「ブルーム」と呼ばれる「天然の蝋物質」。新鮮でみずみずしい野菜や果物の証しでもあるそうで、ブロッコリーだけでなく、ブドウの粒の表面などにも付着する。 国華園によると「ブルームは、植物が自分を守るために作るバリアのようなもので、水分の蒸発を抑える効果があります。食べる直前に洗い流してもいいですが、洗わずに食べてしまってもまったく問題なく、味や栄養には関係しません」とのことだ。 しかし「これは農薬ではないか?」という問い合わせを受けることもあり、国華園ではそのたびに説明しているという。 また、本来は新鮮さの証しであるブルームだが、その見た目を嫌う消費者も多いそう。 そのため、キュウリなどには「ブルームレス」と呼ばれる、ブルームが付きにくいように改良された品種も登場している。 「ブルームレスの品種は少し皮が厚いかもしれませんが、食味の差はそこまで大きくはありません。市場のニーズに応えるという意味では自然な流れだと思いますが、消費者に知識があれば本来必要のない改良でもあると思っています」 ブルームが農薬とは全くの別物であることはわかった。では、一部の消費者が心配するように、野菜の表面に農薬が残っているために、水を弾くということはあるのだろうか。 「農薬が流水で洗っても取れずに水を弾く、というようなことはまず起こりません。そもそも果物や野菜などの植物は水を弾きます。農薬も弾かれてしまって残らないので、植物にちゃんと農薬がくっつくように『展着剤』を使います。それでも、雨が降ると流されてしまうので、農薬を散布する際は晴れが3日続く時を選んだりします」 そんなに農薬が取れやすいということは、農薬を落とすために果物や野菜をゴシゴシ洗う必要はないのだろうか。 「はい。これは残留農薬の基準が厳密に日本の法律で決められているためです。ただ、食べても影響はないとはいえ、多少は残っている可能性があることや、単純に汚れやほこりを落とすために、食べる前には流水で洗ったほうがいいでしょう」
「好きなものをおいしく食べて」
ちなみに、国華園の公式X(旧Twitter)には過去に「輸入物は怖い」「輸入物は農薬まみれ」といったリプライが寄せられたこともあるそうだが、これについても「国産と輸入品で基準が異なるということはなく、同じ基準で流通している」と返答していた。 「基本的に国内で販売されている野菜や果物に健康を害するほどの何かが残留しているということはまずないので、あまり気にせず好きなものをおいしく食べていただければいいのではないかと思います」 ブルームと農薬の違いをはじめ、正しい知識を身につけることが、おいしく新鮮な野菜を選ぶ手助けになりそうだ。
プライムオンライン特集班